【7月21日 東方新報】中国で電子商取引(EC)サイトの否定的レビューを有料で削除する違法ビジネスが暗躍し、警察が摘発を続けている。

 中国・安徽省(Anhui)合肥市(Hefei)公安局は今年2月、個人情報を侵害した容疑などで容疑者12人を逮捕した。

 調べによると、容疑者グループはECサイトに否定的レビューを書いたユーザーの個人情報を高額で購入。商品を売った会社の関係者になりすましてユーザーに電話し、「レビューを取り下げてくれたら謝礼を払う」と持ちかけていたという。グループは数万件の個人情報を入手しており、アジトにはパソコン20台と携帯電話55台があった。グループは200万元(約4089万円)以上を稼いでおり、レビューの削除を依頼してきた企業から得た金とみられる。

 こうした手口の犯行は安徽省のほか天津市(Tianjin)や浙江省(Zhejiang)など複数の地域で行われており、捜査の結果、河南省(Henan)のIT企業が「黒幕」と判明した。

 中国でインターネットを検索すると、「レビュー削除専門会社」を名乗る企業のサイトが複数見つかる。中国メディアが覆面取材で問い合わせると、担当者は「1か月以内に否定的なレビューを削除できる。料金は100元(約2044円)から数千元(数2万447円)まで幅がある。削除の方法は教えられないが、間違いなくできる」と説明したという。

 広東財経大学(Guangdong University of Finance & Economics)法学院の姚志偉(Tao Zhiwei)教授は「レビューを書いたユーザーに金を払って削除させる方法以外にも、プラットフォームの運営者に『このレビューには事実誤認がある。営業妨害だ』とクレームを入れる方法もある。トラブルを嫌がる運営者は言い分をうのみにして削除することがある」と説明する。

 レビューを巡る問題は以前からある。代表的なのは、特定の商品を評価するレビューを大量に書き込む「網絡水軍(インターネット水軍)」だ。PR企業に雇われた人々が大船団を繰り出すようにネット上で大規模な「サクラ」行為をして、世論を誘導する手口だ。2010年ごろから社会問題となり、中国政府は「ネットワーク社会の秩序に悪影響を与える」と取り締まりをしている。近年は、商品の悪口を書き込んで経営者に現金を要求する「プロ悪評家」も登場。食事のデリバリーで「弁当に異物が入っていた」などと言いがかりをつけ、異物を入れた「証拠写真」もねつ造。「レビューを消してほしければ慰謝料を払え」と要求するといった手口を使う。

 こうした悪質行為は警察が次々と摘発し、法廷で有罪判決を受けた被告も多い。それでも発覚した事案は「氷山の一角」という指摘もあり、レビューを巡る悪質行為は後を絶たない。(c)東方新報/AFPBB News