【8月6日 AFP】韓国系米国人のK-POPスター、アレクサ(AleXa)さん(25)は、子どもの頃からステージに立つ夢を抱いていた。だが韓国で有名になろうとしたのには、別の理由もあった。母が実の家族を捜す助けになるのではないかと思ったからだ。

 米国の州別対抗歌謡祭「アメリカン・ソング・コンテスト(American Song Contest)」で最近優勝したアレクサさん。オクラホマ州で生まれ育った自分にとっては、キムチを食べる以外に、母のルーツ・韓国との文化的つながりはほとんどなかったと話す。

 それが一変したのは、2008年にK-POPと出会ってからだ。

 2歳の頃からダンスをしていたアレクサさんは、韓国系米国人としてK-POPのエンターテイナーたちに自分を重ね合わせ、「K-POPアーティストになりたいという夢を持つようになりました」と話す。

 大学時代にK-POPコンテストで優勝し、韓国でリアリティー番組を撮影する機会を獲得。その後の所属事務所となる会社の幹部と会い、多くの若者が目指す過酷なスター養成の道に足を踏み入れた。

 2018年にはソウルに移住。幼少期には話したことがなかった韓国語を学校で数か月間学びながら、ダンスの特訓も続けた。

■母の家族を捜す

 アレクサさんの母親はソウル北西の一山(Ilsan)で生まれ、5歳の時に米国人家庭の養子になった。韓国文化はほとんど知らず、韓国語も話せない。実の親を捜しているが、「ここ韓国の法律には、子どもが生みの親を捜す場合や、親が子を捜す場合に障壁があるのです」とアレクサさんは説明した。

 1950年代以降、何十万人もの子どもが国外で養子となっている韓国では、養子本人の権利よりも、実親のプライバシー権が優先されている。

 朝鮮戦争(Korean War)後に行われた養子縁組は、民族的な均一性が重視されていた韓国から、韓国人女性と米軍兵士の間に生まれた子どもたちを排除する方策でもあった。

 現在も家父長制社会の下、未婚で妊娠した女性は後ろ指をさされ、産んだ子を手放さざるを得ないことが多い。

「捜している相手側もこちらを捜していない限り、情報は手に入りません」とアレクサさん。祖母はまだ見つかっていないが、インターネットの情報とDNA検査によって、他国に住むいとこたちが見つかった。

 今ではソウルが第二の故郷だというアレクサさんは、「いつかこの国で、韓国側の家族が見つかればいいなと思います」と語った。