【7月21日 AFP】訪米中のウクライナのオレナ・ゼレンスカ(Olena Zelenska)大統領夫人は20日、米議会議事堂の講堂で演説し、子どもの将来を案じるウクライナの数百万人の親たちを代弁するとともに、ロシアと戦うための武器の追加供与を訴えた。

 夫のウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は以前、米議会で行ったオンライン形式での演説で、生々しい映像を流していたが、オレナ氏も今回の演説で、ロシア軍の攻撃で死傷する前後の子どもたちの写真や映像を使用した。

 その中には、ウクライナ中部ビンニツァ(Vinnytsia)で、ダウン症があるリザ・ドミトリエワ(Liza Dmitrieva)ちゃん(4)が楽しそうにベビーカーを押す様子を捉えた母親撮影の動画もあった。リザちゃんはこの1時間後、ロシア軍が行ったミサイル攻撃により死亡した。

 オレナ氏は、ロシアが2月24日にウクライナ侵攻を開始した後には避難生活を続けていたが、最近は公の場に出るようになっている。演説では、大統領夫人が武器を要請するのは異例であると認めつつも、その必要に迫られていると説明。「ベビーカーに乗った子どもがロケット弾で殺されないため」に防空システムが必要だとし、「ウクライナ人に対するテロを止めるために力を貸してほしい」と訴えた。

 米議会が来週から休会期間に入ることは「通常」であるとした上で、「私たちは今、そうした日常を奪われている。私の息子は秋に学校に戻れるだろうか? 私には分からない。ウクライナの数百万人の母親も同じ気持ちだ」と述べた。

 また、2001年の米同時多発攻撃の記憶を呼び起こし、米国独立宣言の掲げる「生命、自由および幸福追求」の権利に言及。オレナ氏が米国の支援に感謝すると、議員たちは拍手で応じた。(c)AFP