【7月19日 AFP】台湾を訪問した欧州議会(European Parliament)のニコラ・ベーア(Nicola Beer)副議長は19日、ロシアによるウクライナ侵攻や香港での民主派弾圧に触れ、欧州は台湾の民主主義を擁護しなければならないと訴えた。

 台湾の外交部(外務省)は、ベーア氏の訪台は同氏レベルの欧州議会議員としては「初の公式訪問」としている。

 弁護士でドイツの自由民主党所属のベーア氏は台湾入り後、報道陣に対し「断固として台湾側に立つべき時だ」とし、欧州と台湾は「民主主義ファミリー」の一員だと述べた。

 ベーア氏は、中国が近年香港の民主化運動を抑圧していることを念頭に、「台湾の繁栄は欧州の繁栄でもある。われわれは台湾に対する中国の脅威を見て見ぬふりはしない。欧州は香港では遅きに失したが、台湾ではそうならない」と語った。

 さらに「民主主義の台湾に中国が侵略する余地はない。現在、欧州で戦争が起きているが、アジアでの戦争を目にしたくない」と強調した。

 ベーア氏は「政治的な必要性」に基づいて「公式の立場で」訪台したと述べた。3日間の滞在中、蔡英文(Tsai Ing-wen)総統らと会談する予定。中国は、ベーア氏の訪問に反発しそうだ。

 19日には米国のマーク・エスパー(Mark Esper)前国防長官が蔡氏と会談し、米政府が「戦略的曖昧さから脱却する」時が来たと述べた。

 米国は1979年、中国との国交正常化に合わせ、台湾と断交した。以来、中国による台湾奪取や、台湾を正式な独立宣言に向かわせないよう、台湾有事に際しての防衛支援の有無を明確にしない「戦略的な曖昧さ」を維持してきた。(c)AFP