【7月19日 AFP】冬季五輪で2度金メダルを獲得した、フィギュアスケート男子の羽生結弦(Yuzuru Hanyu)が19日、競技からの引退を表明した。

「氷上のプリンス」こと27歳の羽生は、今年の北京冬季五輪ではけがに苦しんで4位に終わり、ネイサン・チェン(Nathan Chen、米国)に王座を奪われた。

 ダークスーツに身を包み、メディアが詰めかけた会見場に現れた羽生は、壇上に上がると深々と頭を下げ、競技からは身を引くと述べた。

 羽生は「競技者として、他のスケーターと比べ続けることはなくなりました」とし、今後はファンのためにエキシビションでのスケーティングに専念すると語った。

「寂しさは特にないです。これからさらに頑張っていきたい」

 平昌冬季五輪を最後に競技生活を終える考えもあったという羽生だったが、4回転アクセルという目標に向けて戦い続ける決意を固めたという。

「もう競技会に対して、結果っていうものに対して、取るべきものは取れたなと思っています。そこに対する評価を求めなくなってしまった」

 4回転アクセルが心残りだったと明かした羽生は「みなさんの前で成功させられたらいいな」とし、「常に挑戦し続けていきたいなと思います」とコメントした。

 羽生は2014年ソチ冬季五輪の男子シングルで金メダルを獲得すると、4年後の平昌五輪では66年ぶりとなる連覇を達成した。

 2014年と2017年の世界選手権(ISU World Figure Skating Championships)でも優勝した羽生だったが、近年はけがに悩まされ、平昌五輪では足首の靱帯(じんたい)の問題を乗り越えてタイトルを手にした。

 同じ負傷により2021-22シーズンはグランプリ(GP)シリーズを欠場したが、昨年末の全日本選手権(Japan Figure Skating Championships 2021)で復帰。同大会では北京五輪に向けた秘密兵器と期待された4回転アクセルに挑戦したが失敗に終わった。

 羽生は、2018年には最年少での国民栄誉賞を授与されている。(c)AFP