【7月16日 AFP】ロシア軍がウクライナにある欧州最大級の原子力発電所を拠点化して「ミサイルシステム」を含む兵器を配備し、周辺地域を攻撃している。ウクライナの国営原子力企業エネルゴアトム(Energoatom)のペトロ・コーチン(Petro Kotin)社長が15日、明らかにした。

 ウクライナ南東部のドニエプル(Dnipro)川沿いにあるザポリージャ(Zaporizhzhia)原発は、ウクライナ侵攻の初期段階からロシアの支配下にあるが、運営は現在もウクライナ人スタッフが行っている。

 コーチン氏は15日のテレビインタビューで、最大500人のロシア兵が同原発を制圧しており、状況は「極めて緊迫している」と述べた。

 同氏は、ロシア軍が原発内に「ミサイルシステムを含む兵器を持ち込み、ドニエプル川対岸やニコポル(Nikopol)一帯を砲撃している」とし、「物理的に周辺一帯を支配している。占領軍(ロシア軍)の重機や、武器や爆発物を積んだトラックが原発敷地内に置かれている」と述べた。

 さらに「占領軍への撤退圧力が足りない」と指摘した上で、「ロシアとウクライナの間でバランスを取りながら、政治的な駆け引きをしている」と国際原子力機関(IAEA)を非難した。

 IAEAは、原発に不可欠な保守作業を行うために現地入りする必要があると主張している。だが、ウクライナ側は、IAEAがザポリージャ原発を訪れれば「核テロリスト」による占領を正当化するだけだと反対している。(c)AFP