【7月15日 CGTN Japanese】中国山東大学の惑星科学チームはこのほど、2019年に月の裏側にある南極エイトケン盆地に着陸した探査車「玉兔2号」が採集したデータを分析した結果、この盆地の成分異常地域の主要物質は月の地殻に由来するものだと明らかにしました。

 これまで、同科学チームは軌道リモートセンシング観測を通じて、月最大のクレーターである南極エイトケン盆地の中心部に成分が異なるエリアがあることを発見しました。月面によく見られる輝石やカンラン石とは異なり、ここの斜長石の含有量は盆地周辺より明らかに多いことが判明しています。山東大学の研究者は、月面探査車「玉兔2号」が3年にわたって採集した赤外線イメージングスペクトルデータの分析を通じて、着陸地点の底部では地殻の主要構成鉱物である斜長石の含有量が60%を超えていることから、南極エイトケン盆地の成分異常地域の主要物質は月の地殻に由来するものだとの見方を示しました。

 南極エイトケン盆地の研究は、月の起源、初期の進化過程及び深部物質の組成を解明する上で重要な意義があります。しかし、これまでは当該地域のサンプルは地球に持ち帰られておらず、分析はリモートセンシングなどに頼るしかありませんでした。一方で、当該盆地の成分が異なるエリアの成因を確認するには、最終的には月の土壌サンプルが必要で、今後、中国の月探査プロジェクトは月面裏側の土壌サンプルの採取とサンプルリターンを実施する予定です。

 中国の月探査機「嫦娥4号」は2019年1月3日、月の裏側への軟着陸に無事成功し、人類史上初の月の裏側での探査を行いました。「嫦娥4号」はパノラマカメラ、赤外線画像分光計など6台の科学分析装置を搭載し、月面裏側の地形、月の土壌成分などを探査し、3800ギガを超えるデータを採取しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News