【8月14日 AFP】画家の柴崎春通(Harumichi Shibasaki)さん(74)が、千葉県の閑静な里山にある自宅アトリエからユーチューブ(YouTube)で絵画講座の配信を始めたのは70歳を目前にした頃だった。それから5年、今やチャンネル登録者は140万人に上る。

 トップユーチューバーの多くは注目を浴びるためにさまざまな演出を仕掛ける。だが、柴崎さんの場合、穏やかで落ち着きのある物腰がファンの心をつかんでいる。

 柴崎さんのチャンネル「Watercolor by Shibasaki」の英語字幕付き動画は、海外のフォロワーにも人気だ。水彩画やスケッチの技法を教える動画は自ら撮影。時には孫たちや飼い猫2匹も登場する。

「こんにちは。柴崎です。お元気ですか」。白髪頭に口ひげを生やし、眼鏡をかけた柴崎さんが笑顔で手を振り、あいさつする。

 柴崎さんはユーチューブ以外にインスタグラム(Instagram)やティックトック(TikTok)、ツイッター(Twitter)などでも発信しており、世界と直接つながっていることが「夢のようです」と語る。

「僕が子どものころはテレビもなかったんです」

「そんな時代から思うと、こんな時代が来るとは想像だにできなかったです」

 動画の内容は桜の描き方から日常の一こままでさまざまだ。庭で採ったタケノコを料理する様子を配信したこともある。

 息子に勧められて始めた動画投稿は、数十年に及ぶ絵画講師としての経験を世界に発信する機会となった。

「講師業も好きでした。みなさんとおしゃべりするのが好きだし。(中略)5時間も6時間もしゃべれますから」