【7月10日 AFP】テニス、ウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)の女子シングルスを制したエレナ・リバキナ(Elena Rybakina、カザフスタン)が、9日の決勝後の会見で涙を流す一幕があった。一方で、ルーツを持つロシアに関する質問は受け流した。

 リバキナはロシアの首都モスクワの出身だが、2018年に国籍をカザフスタンに変更した経緯を持つ。今回はロシアによるウクライナ侵攻を受け、ロシアとベラルーシの選手は出場禁止となっていた中での優勝だった。

 会見で、ロシアが自身の優勝を政治的に利用すると思うかと質問されたリバキナは「私は長い間カザフスタンの代表としてプレーしている。最高峰の大会でもカザフスタンを代表したし、五輪では夢がかなった」と話し、「どうなるのかは分からない。常にニュースがあるが、この件に関して自分ができることはない」と答えた。

 また、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領と同国の侵攻を非難するかと問われると、「自分が生まれた場所を選んだわけではない。カザフスタンは私をすごくサポートしてくれた。きょうだってたくさんの応援が聞こえたし、国旗も目に入った。だからこのような質問にはどう答えればいいか分からない」と返し、理解を求めた。

 会見の終盤に、モスクワに住む両親は今回の優勝にどう反応するだろうかと聞かれると、「すごく誇らしく思ってくれるはず」と涙ながらにコメント。試合直後のコート上では、四大大会(グランドスラム)初優勝にもかかわらず控えめに喜んでいた中で、記者に対して「私の感情が見たかったんでしょう」と笑みをこぼした。(c)AFP