【7月11日 Xinhua News】中国の古生物学者がこのほど、最新研究技術により、5億1800万年前に生息していたユンナノゾーン(雲南虫)が地球上で最古の脊椎動物だと確認した。中国の化石の宝庫と呼ばれる「澄江動物群(雲南省<Yunnan>澄江地域で発見された5億2千万年前の化石群)」から新たに誕生した「スーパースター」となる。今回の発見は、人類が属する脊椎動物の系譜の起源を知る上で重要な意義を持つ。研究成果は8日、国際的学術誌「サイエンス」に掲載された。

 澄江動物群からは脊椎動物の祖先とみられる個体群の化石が数多く見つかっており、脊椎動物の起源の謎が解明されることが期待されていた。

 研究チームは今回、3次元X線断層撮影顕微鏡や走査型電子顕微鏡などの最新実験装置を用い、これまで分類が未確定とされていたユンナノゾーンをミクロ構造から再度研究した。体が平らで体長が3~4センチしかないことから、ユンナノゾーンは現在の蠕虫(ぜんちゅう)と形態的に似ていることが判明。ユンナノゾーンの標本127点を再分析した結果、同種の咽頭弓(いんとうきゅう)に、極めて微小な積み重なった細胞構造とタンパク質ミクロフィブリルが立体的に保存されていることを初めて発見した。これら二つの微細構造は脊椎動物の細胞の軟骨に特有のもので、ユンナノゾーンが原始的な脊椎動物であることが証明された。

 これまで学界では、同じく澄江動物群から見つかったミロクンミンギア(昆明魚)が最古の脊椎動物だと考えられていた。今回の研究を主導した中国科学院南京地質古生物研究所の趙方臣(ちょう・ほうしん)研究員は、ユンナノゾーンがミロクンミンギアよりも古いことは、原始的な特徴をより多く持ち、脊椎動物の進化の源により近いことを示していると説明。例として、ミロクンミンギアには原始的な背骨があるが、ユンナノゾーンには明確な背骨が存在しないことを挙げた。

 研究チームはまた、今回の研究で進化論的分析手法を用い、ユンナノゾーンの正確な進化上の位置を特定。その結果、ユンナノゾーンは脊椎動物の系譜で最も基幹的な位置を占め、尾索(びさく)動物と他の脊椎動物の間に位置することが確認された。(c)Xinhua News/AFPBB News