【7月9日 AFP】ウクライナ国営パイプライン運営企業は8日、同国を経由して欧州に輸送されるロシア産天然ガスの量が先月、「過去最低」を記録したとして、ロシアが供給量を削減して欧州の政情不安をあおっていると非難した。

 ロシアはバルト海(Baltic Sea)を経由するパイプライン「ノルドストリーム(Nord Stream)」による欧州へのガス供給量を、技術的な問題を理由にこの数週間で60%削減している。しかし欧州では、ロシアに侵攻を受けるウクライナを支援する西側諸国に圧力をかけるためとの見方もある。

 パイプライン企業は、ロシアはウクライナを通過するパイプラインを「予約・支払い済みの輸送量」さえ使っていないとして、「ウクライナのガス輸送システムを介した供給量は6月、過去最低を記録した」としている。ノルドストリームによる供給減は補えていないという。

 さらに、ロシア国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)は供給可能量の7分の1に当たる日量3億3400万立方メートルしか供給せず、同国政府は冬が来る前に欧州で「不安とパニック」をあおろうとしており、「文明世界に対し、欧州の中心で、流血を伴う犯罪を続けている国との交渉を強いろうとしている」と非難した。

 ロシア政府が西側の制裁に対抗して欧州へのガス供給を削減したことでエネルギー価格は高騰し、西側諸国は代替エネルギー源の確保に奔走している。(c)AFP