米最大の人造湖、20年で水位急低下 湖岸線は数百メートル後退
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【7月17日 AFP】米西部にある同国最大の貯水池ミード湖(Lake Mead)の水位が、干ばつの影響で20年以上にわたって低下し続け、湖岸線はかつての位置から数百メートル後退している。
ミード湖は1930年代初めにフーバーダム(Hoover Dam)の建設によってできた人造湖だ。面積は640平方キロで、米南西部の数千万人の住民と広大な農地の水がめとなっている。
だが恐るべきペースで湖の縮小が進んでおり、現在の水量は満水時の4分の1まで減っている。
湖を取り巻く岸壁にはバスタブにできる輪染みのように、水のミネラル分が沈着して白く染まった跡がある。この位置が、1983年の洪水時の最高水位だ。
「ここで水上スキーのレースを楽しんだものです」と住民の一人は話す。だが水位の低下で、湖の中央には島ができてしまった。「昔は(島の)先端しか見えていなかったのに…(中略)だからもうレースはできません」
ボート乗りが盛んだった湖には、以前はボートの揚げ降ろしをするスロープがいくつもあった。だが今ではわずか1か所のみとなったスロープを人々が争うように使用している。「それでもまだなるべく湖に出て、楽しもうとしています」と住民の一人は語った。
ボート販売業を営むジェイソン・デービス(Jason Davis)さんは、「先週は岩が見えなかったところでも、今は(水位が)30~60センチ下がってしまい、いろいろなものがむき出しになっています」と語る。そうなるとボートやヨットが岸に乗り上げ、動きが取れなくなってしまう。
気候学者によると、米西部では20年に及ぶ干ばつは過去に全く例がないわけではない。だが人為的原因による気候変動と相まって、地域一帯の環境は変容しつつある。
気温上昇によってロッキー山脈(Rocky Mountains)の降雪量が減り、雪塊の融解が加速されてしまう。これにより、人が住み着く何千年も前からコロラド川(Colorado River)に、一年中ゆっくりと着実に供給されていた水の流入が減っている。(c)AFP/Huw GRIFFITH