【7月9日 People’s Daily】生態系はチベット自治区(Tibet Autonomous Region)ニンティ(Nyingchi)地区の最も重要な資源であり、近年、同地区では生態系の保護と修復に力を入れている。「自然の蓄え」は年々充実しており、生態系の豊かさや風景の美しさに立脚した、特色ある旅行産業が発展している。目下、エコツーリズムは同地の農牧民が収入を増やす最も直接的で効率的な方法となっている。

 ニンティは中国第2の森林地域で、過去は樹木の伐採が人々の重要な収入源であった。20数年前、巴宜区(Bayi)の魯朗鎮(Lulang)は国営森林に指定され、世紀が変わる頃にはチベット全体で森林伐採が禁止された。魯朗鎮では発展モデルの転換が加速し、エコツーリズム産業を重点的に発展させてきた。

 町に入ると、汚水処理場が目を引く。魯朗鎮景観管理委員会の旺堆主任によれば、汚水処理工場に2500万元(約5億円)以上を投資して、ゼロ汚染の目標を実現した。また、生活ごみ処理施設の設置や景観工事などの措置をとっている。

 投資額は大きかったが、旺堆さんが見るにこれは割に合う出費だそうである。

 環境意識は魯朗鎮以外にも深く根付き、ニンティ各地の発展に繋がった。ポメ県の西、国道318号線の南側では、高い水準の被覆設備を持ったごみの埋め立て場を建設中だ。同地の経済を構築していくことと旅行産業の発展から出発し、ポメ県は先手を打って水準の高いごみ処理施設を建設することにした。この埋め立て場は土壌に対してだけでなく地下水にも汚染がなく、臭いもなく、周辺住民の生活に基本的に影響がない。

 怒江大峡谷では方々に岩が転がり、灰褐色の光景が広がり、緑は希少な資源である。しかしザユル県カワロン郷では山の斜面に時折サボテンやザクロの木が見られる。

 サボテンは自然に生えたもので、ゆっくりと成長して木になる。「私たちの所のサボテンは林となり、今は雲南(Yunnan)から遊びに来る人がますます増えています。車を止めてサボテン林のそばで写真をとる人もよく見ます」と、地元共産党の関係者は誇らしげに語る。

 ザクロは最近植えたものである。以前は村民が家のそばにザクロを植えていたが、2018年から郷では貧困脱出と生態系修復を兼ねて特色あるザクロ移植基地を造っていった。現在では、植えられたザクロは28万9100本・6400ムー(約4.2平方キロ)あまりに達し、ザクロの季節には総生産3000トン、生産額3690万元(約7億4900万円)が見込まれ、住民の平均収入は5700元(約11万円)増を実現した。

 直近の5年で、ニンティ市の植樹・造林面積は累計36万ムー(約240平方キロ)に達し、砂漠化のコントロールに取り組んでいる土地は45万ムー(約300平方キロ)、森林を育成している土地は18万ムー(約120平方キロ)、より経済に密着した優良品種の苗を育てる基地が1万ムー(約6.6平方キロ)にのぼる。

 ニンティの環境と住民の生活は改善の一途をたどっている。近年ニンティには空港や鉄道、高速道路などが整備され、エコツーリズムのボトルネックが解決されつつある。2021年、ニンティの旅行関係産業は飛躍的な伸びを見せている。(c)People’s Daily/AFPBB News