【7月8日 AFP】ティラノサウルス・レックス(T・レックス、Tyrannosaurus rex)のような大きな頭部と短い腕を持つ大型肉食恐竜の新種を発見したとする論文が7日、米科学誌カレント・バイオロジー(Current Biology)に発表された。

 新種恐竜の化石は、2012年にアルゼンチンのパタゴニア(Patagonia)地方北部で頭蓋骨が見つかり、その後4年にわたる発掘でほかの部位も発見された。米人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ(Game of Thrones)」の原作小説に登場するドラゴンにちなみ、「メラクセス・ギガス(Meraxes gigas)」と命名された。

 カルカロドントサウルス科に属し、9000万年~1億年前の白亜紀に生息。化石の保存状態は非常に良好で、頭蓋骨の長さは127センチ、全長は約11メートル、体重4トンと推測されている。腕の長さは約60センチと頭蓋骨の半分ほどで、口まで届かなかったとみられる。

 M・ギガスはT・レックスが出現する2000万年前に絶滅しており、両種は近縁でないため、T・レックスの短い腕はM・ギガスから受け継いだものではない。論文を執筆した米国とアルゼンチンの共同研究チームはこのことから、短い腕には進化上の利点があり、交尾の際に雄が雌を抱きかかえたり、休息や転倒時に体を支えて立ち上がったりするために使ったのではないかとみている。(c)AFP/Issam AHMED