【7月7日 AFP】ウクライナ侵攻時に同国軍に破壊・鹵獲(ろかく)されたロシア軍の車両2台が、ポーランドの首都ワルシャワの王宮広場(Castle Square)に展示されている。

 T72戦車と2S19自走榴弾(りゅうだん)砲はそれぞれ、首都キーウと北東部ハルキウ(Kharkiv)の近郊で鹵獲された。キャタピラに泥や草が付着していなければ博物館の展示品と見間違うほどだ。

 2台は現在、ポーランドとウクライナの両政府が共同で企画した「For Your Freedom and Ours(あなたたちと私たちの自由のために)」の一環で、戦利品として展示されている。ウクライナ人は自国だけでなく欧州全体の自由と民主主義を守っているというメッセージが込められている。

 親戚を訪ねてワルシャワに来ていたウクライナ人のビッカさんは、目頭を押さえて「ここでこれを見るのはつらい。でも、ポーランドが示してくれた(ウクライナへの)支援の証しだ」とAFPに語った。

 ワルシャワに住む年金生活者クシシュトフさんは、腕を組んで2台を吟味するように眺めていた。

 クシシュトフさんは1939年の旧ソ連によるポーランド侵攻を引き合いに出し、「(当時ポーランドに侵攻した戦車が)これほど近代的なものでなかったのは確かだ。しかし、それ以外は、ロシアの政権の考え方は何も変わっちゃいない」と述べた。

 8歳のサーシャ君と母親のカタリナさんは、3月上旬にキーウからポーランドに避難してきた。

 サーシャ君は「この戦車が、戦争が現実だと示している」とAFPに語った。

 カタリナさんはため息をつきながら「息子はこの戦争のことをよく分かっている。キーウに戻り、いつか兵士になることを夢見ている」と述べた。

 2台はワルシャワに数か月展示された後、南部クラクフ(Krakow)に移される。ウクライナ国防省は、スペインの首都マドリードやポルトガルの首都リスボンなど、欧州の他の都市での展示も計画している。(c)AFP/Nell SAIGNES