【7月5日 AFP】ロシアの侵攻で練習拠点を失った相撲のウクライナ代表選手団が、日本での約1か月の合宿を終え、7日開幕の非五輪競技・種目を中心とした国際大会「ワールドゲームズ(World Games 2022)」で栄冠を目指す。

 選手たちは2月下旬、ハルキウ(Kharkiv)にある拠点でちょうど練習を終えたところ、市がロシアの侵攻を受け、爆撃に遭った。その後は知人の調整で日本で合宿を実施。5月下旬に到着して以来、大分県と愛媛県で合宿を張ってきた。

 ワールドゲームズは、1981年から4年ごとに開催されているが、新型コロナウイルスによる影響で、今年は1年遅れでの開催となる。

 軍事侵攻を理由にロシアとベラルーシの選手は大会から除外されているが、ウクライナ代表のコーチを務めるリュボフ・コロブコ(Liubov Korobko)氏は「スポーツと政治を混同するべきではない」と考えている。

「この戦争に反対しているアスリートがロシアに大勢いると思う」

「そのアスリートたちが友人として私たちに意見を伝え、平和への願いを表現する格好の場になったのではないかと思う」

 プロの相撲があるのは日本だけだが、アマチュアレベルでは世界的に人気がある。ウクライナにも約3000人の相撲関係者がおり、同国は相撲がワールドゲームズで2005年に初めて正式競技として開催されて以来、最も成功を収めている国の一つだ。

 1999年にウクライナに相撲連盟を立ち上げた父を持つ、代表トレーナーのコンスタンティン・コロブコ(Kostiantyn Korobko)氏によれば、ウクライナ国内では相撲が「非常に人気」だという。

 現在大相撲では、2020年に初土俵を踏んだウクライナ出身のセルギイ・ソコロフスキー(Serhii Sokolovskiy、25)が獅司(Shishi)のしこ名で戦っている。

 コロブコ氏は「もちろん最初は誰もが理解するのに苦しんだ。でも実は、小さな子どもたちにとっては非常にシンプルなルールだ」と話し、ウクライナでは相撲にとって明るい未来が待っているだろうと語った。

 ワールドゲームズに出場するウクライナの代表選手6人は5日、大会が行われる米アラバマ州バーミングハム(Birmingham)へと出発する。

 映像は埼玉県草加市で3日撮影。(c)AFP/Andrew MCKIRDY