【7月6日 People’s Daily】中国山東省(Shandong)海陽市(Haiyang)の原子力暖房供給プロジェクト「暖核1号」が4月1日、初めての暖房供給シーズンを終えた。国家電力投資集団公司の海陽原発が発電と熱供給を並行して行い、約5平方キロのエリアで143日間にわたり暖房を安定して供給。二酸化炭素(CO2)などを排出しない中国初の「ゼロカーボン暖房都市」が実現し、20万人の住民からは「家の中はとても暖かく、服を一枚着ているだけで快適」「暖房供給期間が延長された上、暖房費まで安くなった」「石炭から原発にエネルギーが代わり、汚染がなくなった」と喜びの声が上がっている。

 熱電併給システムとして世界最大規模の「暖核1号」は、原子炉から発生する高温高圧の水蒸気を複数回にわたり熱交換し、市内に張り巡らしたパイプ網で温水を送り、各家庭に熱を届けている。原発には複数の防御壁があり、熱交換ステーションは熱だけが伝達されるため安全対策は徹底している。

 海陽原発1号機は2018年に商業運転を開始し、2021年11月から暖核1号プロジェクトがスタートした。4月1日までに200万ギガジュールのクリーンな熱を提供し、石炭燃焼ボイラー12台分を代替。二酸化炭素33万トン、窒素酸化物2021トン、二酸化硫黄2138トンを削減し、大気中の粒子状物質(PM)2.5を16%減少させた。周辺海域の海温上昇も抑え、海洋生態環境の改善にもつながっている。

 海陽原発では新たな暖房供給プロジェクトが進んでおり、完成すれば30平方キロの100万人の住民に暖房を供給する。炭素削減効果は現在の5倍となる見込みだ。経済的で環境に優しいエネルギーシステムは、2030年までのカーボンピークアウトと2060年までのカーボンニュートラルを目指す中国政府の目標実現に貢献することになる。(c)People’s Daily/AFPBB News