【7月5日 AFP】パレスチナ自治区で5月、カタールの衛星テレビ局アルジャジーラ(Al Jazeera)のベテラン記者シリーン・アブ・アクレ(Shireen Abu Akleh)氏が取材中に撃たれ死亡した問題で、米国務省は4日、銃撃はイスラエル側によるものだった可能性が高いとする調査結果を発表した。イスラエルの責任を追及する姿勢を示したが、同氏が故意に殺害されたと考える「理由はない」としている。

 米国籍を持つ著名パレスチナ人記者だったアブ・アクレ氏は5月11日、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)ジェニン(Jenin)でイスラエル軍が実施した作戦を取材中、銃弾を受けて死亡。その際、「報道」と書かれた防弾チョッキを着ていた。

 同氏の死は怒りの声を呼んだ。パレスチナ自治政府は、アブ・アクレ氏が故意に射殺されたとし、戦争犯罪に相当すると非難。一方のイスラエルは、意図的な銃撃を強く否定している。

 米国務省は、アブ・アクレ氏が受けた弾丸を詳細に分析したものの、損傷が激しかったため、弾の出所について「決定的な結論」を出せなかったと説明。イスラエルと緊密な同盟関係にある米国による今回の発表は、全ての関係者が受け入れられる調査結果への期待を裏切る形となった。

 同氏の遺族は声明で、弾丸を発射した銃が特定できなかったことは「信じがたい」と反発。パレスチナ自治政府高官は、「真実を隠そうとする」試みを非難した。パレスチナのイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)は国際的な捜査を求め、米国をアブ・アクレ氏殺害の「真の共犯者」と呼び批判した。(c)AFP/Shaun TANDON