食洗機、スマート便座、ゲーミングチェアが「新・三種の神器」に 「快適さ」重視する中国のZ世代
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【7月4日 東方新報】日本では1950年代に家庭の電化製品で「三種の神器」という呼び方があった。「冷蔵庫、洗濯機、白黒テレビ」を指し、これらがそろうと一定の消費水準を持つ家庭とみられた。その後も60年代後半からの高度経済成長期は「カラーテレビ、クーラー、マイカー」が「新・三種の神器」と言われた。
中国でも同じ意味で「三大件」という言葉がある。1950~60年代は「腕時計、ミシン、自転車」、70~80年代は「冷蔵庫、洗濯機、カラーテレビ」、90年代以降は「マイホーム、マイカー、パソコン(携帯電話やエアコンの場合も)」という流れだ。そして最近、中国で「新三大件」と言われているのが「食洗機、スマート便座、ゲーミングチェア」だ。
電子商取引(EC)大手の京東(JD.com)が5月31日から6月18日まで行った大型セールイベント「618セール」の取引総額が前年比10.3%増の3793億元(約7兆7733億円)になった。総額は最高記録を更新した一方、伸び率としては過去最低という中、節水型のスマート便座の売上高は8倍、食洗機は3.5倍となった。セールの客はZ世代(1990年代後半から2000年代生まれ)が4割を占めており、ゲーミングチェアは30万脚が売れたという。
天猫(Tmall)新生活研究所が発表したリポート「2022年天猫618新消費トレンド」は「若者は暮らしの中の特別感や洗練さを重視しており、食洗機、スマート便座、ゲーミングチェアがその代表的アイテムとなっている」と分析。コロナ禍で「ステイホーム」の時間が増え、自宅をいかに快適な空間にするかという意識も高まっている。
中国で食洗機の普及率は2%程度とされる。「使いづらいし、メンテナンスが面倒」というイメージがあり、「食洗機を買うのは智商税(IQ税=社会勉強代、無駄遣いの意味)を払うだけ」とも言われていた。しかし2021年の食洗機の売上高は前年比14.4%増の99億6000万元(約2015億円)に上った。また、日本で中国人観光客の「爆買い」が話題になった当時、日本製の温水洗浄便座も人気商品の一つだったが、今はネットでスマート便座を購入して自宅へ配達されるのを待つだけに。中国はゲーム産業の振興に力を入れており、それに伴いゲーミングチェアの需要も高まっている。「新三大件」は変化の激しい中国社会を象徴しているとも言える。(c)東方新報/AFPBB News