【7月1日 AFP】香港返還25周年を迎えた1日、台湾の蘇貞昌(Su Tseng-chang)行政院院長(首相)は、香港の自由と民主主義は失われたとの見解を示した。中国の習近平(Xi Jinping)国家主席はこの日、記念式典のために香港を訪れていた。

 蘇氏は台北で報道陣に対し、「一国二制度」で2047年まで香港の高度な自治を保証するとした英国、中国両政府の返還時の合意に触れ、「まだ25年しかたっていない。過去の約束では50年は変わらないということだった」と話した。

 さらに、かつての中国最高指導者、鄧小平(Deng Xiaoping)氏が返還後も香港市民の生活は不変だと約束した際の言葉を引用し、「『馬照跑、舞照跳(馬は走り続け、踊りは続く)』が失われ、自由と民主主義さえも消えてしまった」と指摘した。

 中国は、台湾にも限定的な自由と自治を認める「一国二制度」の導入を提案したことがある。

 だが、台湾では党派を超えて提案を拒否。近年の中国政府による香港への抑圧を見て、否定的な意見はより強固になっている。

 蘇氏は、台湾は自らの主権や自由、民主主義を固守しなければならないと訴えた。(c)AFP