【6月29日 AFP】米サイバーセキュリティー企業マンディアント(Mandiant)は28日、親中派のソーシャルメディアネットワークが、レアアース(希土類)を採掘する西側企業を攻撃しているとする報告書を公表した。

 レアアースは電気自動車(EV)からスマートフォン、蛍光灯まであらゆる製品に不可欠な材料として使われている。だが、世界供給の80%を中国が支配しており、西側諸国は何年も前から、この支配を崩そうとしてきた。

 マンディアントは2019年、親中的言説や偽情報を拡散する複数の活動とつながりがある、偽のアカウント数千個から成るソーシャルメディアネットワークを特定した。

 同社がドラゴンブリッジ(Dragonbridge)」と命名したこのネットワークは、何か月も掛けてレアアース採掘企業を攻撃していた。

 ドラゴンブリッジはソーシャルメディアで、豪企業ライナス・レア・アース(Lynas Rare Earth)を環境問題の点から攻撃。米テキサス州の処理施設建設予定地の抗議デモを呼び掛けた。テキサス州民を装い、環境や健康への影響に懸念を示すアカウントもあった。

 ドラゴンブリッジは他に、カナダ企業アッピア・レアアース・アンド・ウラニウム(Appia Rare Earths & Uranium)や米企業USAレアアース(USA Rare Earth)も攻撃した。

 マンディアント3社が標的にされた理由について、レアアースの世界市場における中国の支配的地位を脅かしているためとみている。

 ドラゴンブリッジはまた、米国内でのレアアース増産を目指すジョー・バイデン(Joe Biden)政権を批判する米政治家の発言を拡散した。

 マンディアントはこの活動について「特に効果がなかったとみられ、限られたエンゲージメントしか得られなかった」と説明。一方、ドラゴンブリッジが同様の手法を、中国政府の利益になるように「米国の他の政治問題をめぐる世論を操作するため」にも使う恐れがあると警鐘を鳴らした。(c)AFP