【7月10日 AFP】トルコ南東部の山腹にあるギョベクリテペ(Gobekli Tepe)遺跡。トルコ語で「太鼓腹の丘」を意味するこの遺跡は考古学的に最重要視され、世界最古の聖地とされている。

 先史時代、装飾を施したT字形の巨大な石柱の周りには大勢の人が集まり、祈りをささげていたとみられる。英国の古代遺跡「ストーンヘンジ(Stonehenge)」やエジプト最古のピラミッドより7000年以上も前の時代だ。

 米ウェストバージニア大学(West Virginia University)のショーン・ローレンス(Sean Lawrence)准教授(歴史学)は、「この遺跡の重要性は言葉では言い表せないほどです」と語る。

 専門家によると、シリアとの国境に近いこの丘陵で人類定住の歴史が始まったのは約1万2000年前。ギョベクリテペを造ったのは石器時代の狩猟採集民だ。

 人の住まいとしては使われていなかったという説もあり、他の丘陵部まで広がる広大な聖地の一部だった可能性がある。近隣の遺跡は、ギョベクリテペよりさらに古い時代のものだったとする考古学者もいる。

■尽きない謎

 こうした仮説が立てられるようになったのは、ドイツの考古学者で先史学者のクラウス・シュミット(Klaus Schmidt)氏が1995年に同遺跡での発掘を初めて発表してからだ。

 だが、ギョベクリテペがいつごろ造られ始めたのかは具体的には分かっていない。

 トルコはこの広大な考古学的遺産の活用にあまり熱心ではなかったが、文化観光省は昨年、この地域の発掘事業への助成金を拡大した。

 出土品は、近隣の市シャンルウルファ(Sanliurfa)の考古学博物館に展示されている。

 2019年には100万人以上の観光客がシャンルウルファを訪れた。市では今年、新型コロナウイルス流行以前の活気を取り戻すことを期待している。(c)AFP/Fulya OZERKAN