【7月1日 People’s Daily】北京時間3月31日、無人補給船「天舟2号(Tianzhou-2)」は、定められたミッションプランに基づき、制御・軌道離脱を実施し、大気圏に再突入した。「天舟2号」は、宇宙ステーションの建設段階におけるさまざまな技術試験の検証、および軌道上での拡張試験の検証を成功裏に完了した。再突入の際、補給船の部品の大部分が燃え尽き、少量の残骸が南太平洋の予定された安全海域に落下した。

「天舟2号」の帰還は、有人宇宙船「神舟13号(Shenzhou-13)」の帰還が間近に迫っていることを意味する。宇宙ステーションの運用期間中、乗組員の滞在期間は通常6か月間であるため、半年ごとに乗組員の交代と物資の補給が行われる必要がある。乗組員が撤退する際、通常、無人補給船が有人宇宙船に先行し、宇宙生活の廃棄物の大部分を運び出す。「天舟2号」を見送った後、軌道上にいる「神舟13号」の乗組員は、帰還準備に追われており、4月中旬に地上に帰還予定だという。

 一般に、軌道上にある宇宙機が10センチ以上のスペースデブリ(宇宙ごみ)に衝突すれば、非常に危険なことになる。スペースデブリとの衝突を避け、自らの安全を確保するために、飛行中の宇宙機に軌道変更措置をとらせることが多く、時には軌道上での飛行任務にも重大な影響を与えることがある。スペースデブリの管理は非常に難しく、高度400キロの地球近傍軌道では、スペースデブリの軌道の離脱には数年から十数年かかるとされている。ミッション終了後の軌道上の宇宙機に制御・軌道離脱の操作の実施は、中国の宇宙飛行が大国としての責任を果たすための必然的な選択だ。

 中国航天科技グループ(CASC)第五研究院の無人補給船「天舟2号」の設計者によると、低軌道の衛星や他の宇宙機が寿命になると、大気抵抗や制御システムの作用で、軌道が徐々に低下し、空力効果が強まり、その時に宇宙機が大気圏に再突入すると考えられる。低軌道にある宇宙機が大気圏に再突入する際には、秒速8キロで急速に飛行し、その時点で宇宙機は空力加熱と空気動力の二重作用で徐々に解体、二次解体、融蝕(ゆうしょく)してしまうのだという。

 地上作業員へのリスクを軽減するため、地球近傍の大型宇宙機の軌道離脱では、制御・再突入するのが一般的だ。これにより、軌道離脱に成功し、安全区域に落下するという。安全区域は、南太平洋の無人地帯が選ばれることが多い。これまで中国は、2017年に無人補給船「天舟1号(Tianzhou-1)」、2019年に宇宙実験室「天宮2号(Tiangong-2)」の制御・再突入任務を相次いで実施した。

「天舟2号」が任務完了後、国際慣例に基づいた軌道離脱の操作の実施は、スペースデブリの量を減らし、軌道上にある宇宙機や地上への危害を避け、他の宇宙機に安全でクリーンな宇宙環境を作り出すだけでなく、世界のスペースデブリ環境整備において重要な役割を果たし、軌道資源の占有を避けることができる。

 今後5年間、中国は宇宙環境ガバナンスシステムの構築を統合的に推進していく。宇宙交通管理を強化し、スペースデブリ監視施設システム、カタログデータベース、早期警報サービスシステムを構築・完備し、宇宙機の軌道整備、衝突回避制御、スペースデブリ軽減などを統一的に行い、宇宙システムの安全、安定、秩序ある運用を確保する。(c)People’s Daily/AFPBB News