【6月27日 AFP】27日に開幕するテニスのウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2022)では、ロシアのウクライナ侵攻を受け、ロシアとベラルーシ勢の出場が禁止される。

 そのため、男子は世界ランキング1位のダニール・メドベージェフ(Daniil Medvedev、ロシア)や同8位のアンドレイ・ルブレフ(Andrey Rublev、ロシア)、女子はアリーナ・サバレンカ(Aryna Sabalenka、ベラルーシ)らトップ20の3人をはじめとする選手が欠場する。

 ウクライナ出身の元選手で、現在は軍に入隊しているセルジ・スタホフスキ(Sergiy Stakhovsky)氏は、ロシア勢は全ての競技から除外されるべきだと主張しているが、ウィンブルドンで男子シングルス優勝6回を数えるノバク・ジョコビッチ(Novak Djokovic、セルビア)は、今回の措置は度を越しているとの考えを示している。

 ジョコビッチは「実際に起きていることに対し、選手の関与は見られない。公平だとは思わない」と述べ、男子プロテニス協会(ATP)と女子テニス協会(WTA)のツアーのように、ロシアとベラルーシの選手の出場を中立の立場で認めるべきだと話す。

 ウィンブルドンの動きを受け、ATPとWTAは今大会における世界ランキングのポイント付与を拒否した。この対応については、2度の男子シングルス優勝を誇るアンディ・マレー(Andy Murray、英国)から「あまり賛成できなかった。誰にとってメリットがあるのか分からない。結局選手はみんな出場しに来ているし、そうすることで今後どうATPの立場が強くなるのか想像できない」と疑問視する声が上がった。

 ウィンブルドンを主催するオールイングランド・ローンテニス・アンド・クローケー・クラブ(AELTC)は、会場のある英ロンドン南西部に住むウクライナ難民に大会のチケットを配布し、25万ポンド(約4130万円)を難民のチャリティーに寄付するとしている。

 だが、こうした人道的な取り組みを持ってしても、出場禁止の処分は賢明でないとするニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)らの姿勢を和らげるには至っていない。

「ロシア選手の出場を禁止するのは良いアイデアだったとは思わない。メドベージェフはいま自分たちの競技でベストの選手だ」と主張するキリオスは「カメラが入って、人々の注目が集まるときは、競技の成長のためにも最高の選手をステージに立たせたいものだ」と指摘し、「彼らがここにいないのは残念だし、メドベージェフがいないのは変だ」と話した。

 一方で女子シングルス優勝7回を誇るセレーナ・ウィリアムス(Serena Williams、米国)は「私が理解している限り、ものすごく政治と政府が関わっている重い問題。そこからは距離を取りたい」とコメントし、議論を避ける姿勢を見せている。(c)AFP