【6月27日 AFP】壁の後ろで身をかがめ、遠くの標的を狙った後、小走りで移動する──ウクライナ南部ザポリージャ(Zaporizhzhia)にある射撃場で、6人の女性がカラシニコフ銃の使い方を学んでいる。

 今日の参加者にとって講習は3回目。「シックスセンス(Sixth Sense)」という名のセンターでは、女性たちに銃の扱い方や市街戦の戦術を教えている。

 ロシア軍の攻撃が近づく中、ナタリア・バソワ(Natalia Basova)さん(47)は、娘のウリヤナ・キバシコ(Ulyana Kiyashko)さん(29)と一緒に迷わず受講を申し込んだ。バソワさんの夫と息子、そして義理の息子も今は前線にいる。

「戦争になる前から、武器の使い方は知っていました。射撃場に通っていたので」とバソワさん。「でも今は、誰もが知っておかないと」

 講習では、「味方を傷つけないように正しく撃つこと」を学んだとAFPに語った。

 センターでは、武器の扱い方の基本コース、特別訓練コース、カラシニコフ銃を使った特殊部隊用の戦術コースを開講している。

 以前は、兵士や領土防衛隊の隊員のみを対象としてきた。しかし、ロシア軍がザポリージャに進軍してきた場合に備え、受講を希望する女性が増えている。戒厳令の下、訓練は全市民を対象に無料で行われ、ロシア軍が侵攻を開始した2月24日以降の受講者は約4000人に上っている。

■「この街を見捨てはしない」

 創設者のセルゲイ・エリン(Sergey Yelin)氏(47)によると、基本コースでは立ち方と照準の合わせ方、引き金の扱い方、呼吸法、さまざまな射撃法などを学べる。女性向けの講習は計15時間だが、基本コースは5、6時間でマスターできるという。

「敵が市内に入ってくれば、当然、市街戦になるので、民間人向けの戦術的な演習をいくつか用意しました」とエリン氏は説明した。「市街戦は廃虚や地下室、店の中など、難しい場所で起きることが多いのです」

 受講生の一人、ヤナ・ピルテク(Yana Piltek)さん(33)は「私たちは前線にいるのだから、自分たちのため、家族のために戦い方を知る必要があります」と話す。

「市街戦で勝つために訓練しています。実際に(市街戦が)起きたら、私たちはこの街を見捨てはしません」

 映像は17日撮影。(c)AFP/Marina Moyseyenko