【6月25日 AFP】第2次世界大戦(World War II)中にフィリピンのレイテ沖海戦(Battle of Leyte Gulf)で沈没した米海軍の駆逐艦「サミュエル・B・ロバーツ(USS Samuel B Roberts、通称:サミーB)」が、水深約6900メートルの場所で見つかった。米海洋探査チームは、世界で最も深い場所で発見・調査された沈没船だとしている。

 サミーBは1944年10月25日、米軍が当時植民地だったフィリピンを旧日本軍から奪還する作戦を進める中、中部サマール(Samar)島沖の戦闘で沈没した。

 米テキサス州に拠点を置く海洋技術会社「カラダン・オーシャニック(Caladan Oceanic)」は今月、有人潜水艇による探査を8日間行い、サミーBのぼろぼろの船体を撮影し、調査を行ったとしている。画像には、同艦の3連装魚雷発射管と銃架が写っている。

 潜水艇を操縦した同社の創業者ビクター・ベスコボ(Victor Vescovo)氏は「水深6895メートルに眠っている駆逐艦は、これまで発見・調査された沈没船の中で最も深い場所にある」とツイッター(Twitter)に投稿。「この小さな艦は、旧日本海軍の精鋭を相手に最後まで戦った」と記した。

 米海軍の記録によると、サミーBの乗組員224人のうち89人が死亡。「救助を待って3日近く漂流し、多くがけがが元か、サメに襲われて命を落とした」

 これまでで最も深い場所に沈んでいたのは、昨年カラダン・オーシャニックが水深約6500メートルで調査した米駆逐艦「ジョンストン(USS Johnston)」だった。

 今回は7000メートル以上の深さに沈んでいる米空母「ガンビア・ベイ(USS Gambier Bay)」の捜索も行われたが、発見できなかった。(c)AFP