【6月25日 AFP】イタリア南部の古代ローマ都市ポンペイ(Pompeii)でこのほど、産卵前の小さなリクガメの死骸が発掘された。体長14センチのこのカメは、西暦79年にベズビオ火山(Mount Vesuvius)が噴火する前に死んでいたとみられている。

 ポンペイでは62年に地震が発生し、復興作業が行われていた最中に火山の噴火に見舞われた。このカメの発見は、噴火前のポンペイの最後の様子を知る新たな手掛かりを与えてくれるものとなった。

 ヘルマンリクガメ(Testudo hermanni)とされるこのカメは産卵を控え、地震後に倒壊し使われていなかった店に潜り込んだものの、卵を体内に残したまま死んだとみられる。

 ポンペイ考古学公園(Archaeological Park of Pompeii)は、「店の再建工事の作業員はカメが入り込んでいるのに気付かず、その死骸は人目に付くことなく覆い隠された」と説明した。

 ベズビオ火山の噴火でポンペイは壊滅的な被害を受けたが、灰などの堆積物に覆われて多くの建物や犠牲者の遺体が当時の姿をほぼ完全に保ったまま残された。(c)AFP