【6月24日 AFP】香港の観光名所として知られた水上レストラン「珍宝王国(ジャンボ・キングダム、Jumbo Kingdom)」の事故をめぐり、実際に沈没したのかどうか混乱が広がっている。

 ジャンボを所有する香港仔飲食企業(Aberdeen Restaurant Enterprises)は20日、ジャンボが19日に南シナ海(South China Sea)の西沙諸島(パラセル諸島、Paracel Islands)近海で悪天候に見舞われ、浸水し、転覆したと発表。現場は水深1000メートル以上あり、引き揚げは極めて困難だと説明した。

 香港の海事当局は23日夜、ジャンボの沈没事故についてはメディアの報道でしか把握していないと指摘。香港仔飲食企業に対し、直ちに報告するよう求めた。同日に同社からレストランが転覆したが、ジャンボもえい航船も西沙諸島にあるとの報告を受けていたという。

 ジャンボの広報担当者は数時間後、AFPの取材に応じ、香港仔飲食企業は常に「沈没」ではなく「転覆」という言葉を使ってきたと強調した。ジャンボは沈没したのかと問われると、発表では「転覆した」としていると繰り返したものの、なぜ水深が深く引き揚げが困難だと言及したのかについては説明しなかった。

 英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(South China Morning Post)も、同社の広報担当者が船は「沈没」ではなく「転覆」したと主張したと伝えている。まだ海上に浮かんでいるのかどうかについては明言を避けたという。

 同紙が海事当局の話として伝えたところによると、沈没から24時間以内に当局に報告がない場合には、違法行為に当たる可能性がある。

 ジャンボはここ10年経営難に陥っていた。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)により経営悪化が加速、2020年3月に営業を停止した。(c)AFP