【6月23日 AFP】マグニチュード(M)5.9の地震で壊滅的な被害を受けたアフガニスタン東部パクティカ(Paktika)州。州都シャラン(Sharan)の病院のベッドの上で、ビビ・ハワさん(55)は涙に暮れていた。

 22日未明に起きた地震の犠牲者は1000人を超える。ビビさんも少なくとも12人の家族を亡くしており、生き残ったのは自分だけかもしれないと恐れている。この先どうすればいいのかと、しきりに嘆くビビさんを落ち着かせようと、看護師が優しく額をなでて言葉を掛ける。

 最も大きな被害を受けたアフガン東部は山がちで貧しい上、昨年8月のイスラム主義組織タリバン(Taliban)による実権掌握で、その日暮らしの生活がさらに悪化していた。

 ビビさんが治療を受けている病室には、12人の女性がベッドに横たわっている。

 そのうちの一人、シャミラさんは無傷だったが、その膝の上で眠っている1歳の孫はこめかみが大きなガーゼで覆われている。隣には孫の母親である義理の娘が寝ており、隣の部屋では息子が治療を受けている。

「寝ていたら大きな音がした」と、シャミラさんは地震発生時についてAFPに語った。「叫び声を上げた。家族は皆、がれきの下敷きになってしまい、(無事だったのは)自分だけだと思った」

■あちこちで泣き声が

 男性12人が入院する隣の病棟では、アルプ・ハーン(Arup Khan)さん(22)は地震発生直後の様子について「ひどい状況だった」と話した。「あちこちで泣き声がした。子どもたちも家族も泥に埋まった」

 シャラン病院(Sharan Hospital)のモハマド・ヤフヤ・ウィアル(Mohammad Yahya Wiar)院長は、全員を治療するため全力を尽くしていると述べた。

 負傷者が運ばれてきた時は「皆、泣いていた。私たちも泣いていた」とし、「わが国は貧しく、(医療)資源が足りていない。人道危機だ。津波のようだ」と訴えた。

 病院前には地元の男性100人ほどが行列をつくっていた。タリバン戦闘員によると、献血のためだという。「けさからもう約300人が献血した」と戦闘員は語った。(c)AFP/Emmanuel PEUCHOT and Abdullah HASRAT