【6月25日 AFP】インドの村で教師を務めるプラティバ・ヒリム(Pratibha Hilim)さん(51)は3年前、壊疽(えそ)により両手両足を失った。その苦難に耐える力を与えてくれたのは、再び教壇に立つという夢だった。

 ムンバイから車で東へ数時間。教育の機会に恵まれない辺境の村カルヘ(Karhe)で、ヒリムさんは現在、腕にくくり付けたペンやチョークを巧みに使い、自宅で授業を行っている。

 2019年にかかったデング熱による壊疽で、初めは右手、そして数週間とたたないうちに左手と、両脚の膝から下を失った。

「最初に片手が切断されたとき、これで何もできなくなると思いました。うつ状態になって、1週間以上、誰ともしゃべりませんでした」とヒリムさん。

 だが家族の励ましに支えられ、ヒリムさんは再び教壇に立つという目標を見いだした。

 ヒリムさんが属する先住民、アディバシ(Adivasi)が住むカルヘ村では、多くの家庭の子どもが貧しい家計を助けるために早々と学校を切り上げ、働かざるを得ない状況だ。

 ヒリムさんは今、義肢が装着される日を待ちながら、子どもらに学び続けること、自分の手で運命を選び取ることを教えたいと願っている。

 そして、自分自身が困難を克服して教壇に戻ったことで、意思の力を証明したと言う。

「手足を失って自分は価値がなくなってしまったと思いましたが、それから強く決心したのです」とヒリムさん。

「何でもできる、何でもやってみせるという決心です」

 映像は5月26日撮影。(c)AFP/Glenda KWEK