【6月26日 AFP】コロンビアの沼地で昨年9月、母親とはぐれた生後わずか3日程度のアメリカマナティーの赤ちゃんが地元の漁師に保護された。

 北西部サンタマルタ(Santa Marta)にあるロダデロ(Rodadero)水族館に運び込まれた当初は、生き延びる見込みは薄かった。

 それから約9か月。「タサヘリート(Tasajerito)」と名付けられた赤ちゃんは、専用プールでビタミン剤入りの特製ミルクを飲みながら命をつないでいる。職員がつきっきりで世話をしており、飲むミルクの量もここ数か月で6倍に増えた。体長1.5メートル、体重53キロにまで成長し、飼育係から浮き方や潜り方、泳ぎ方を教わっている。

 それでもまだ「生まれて間もない赤ちゃん」であることに変わりはないと、同館の海洋生物学者ジュリエス・プリエト(Julieth Prieto)氏は指摘する。マナティーは通常、母親に5年間育てられ、その間の半分はミルクを飲んで過ごす。

 可能であれば2年後に野生に返したいとしているが、そのためには体長3~4メートル、体重約600キロに成長している必要がある。

 アメリカマナティーの生息数は世界で約1万頭と減少傾向にあり、国際自然保護連合(IUCN)の「レッドリスト(Red List)」では「危急種(VU)」に分類されている。

 コロンビアでは、乱獲が個体数激減の大きな理由となっている。(c)AFP