【6月22日 AFP】エクアドルで21日、先住民族による燃料高騰抗議デモが続く中、警察とデモ隊が衝突し、先住民族ケチュア(Quichua)人の男性1人が死亡した。

 人権団体の弁護士によると、死亡したのはバイロン・グアタトカ(Byron Guatatoca)さん(40)。アマゾン(Amazon)熱帯雨林の町プヨ(Puyo)で道路封鎖に参加していた際、「衝突が起こり、催涙弾とみられる物が顔面に当たった」という。

 同国では、エクアドル先住民族連盟(CONAIE)の呼び掛けにより、燃料高騰に抗議するため13日から全国で道路の封鎖が行われており、経済に甚大な影響が出ている。今では先住民族のみならず、学生や労働者、困窮する市民も参加している。

 複数の場所で衝突が起こり、警察と市民数十人が負傷している。

 首都キトではここ数日全国からデモ隊約1万人が集結している。

 21日未明には、キト郊外で抗議デモに参加していた若い男性が「軍から逃げようとして」渓谷に落ち、死亡した。

 キトのサンティアゴ・グアルデラス(Santiago Guarderas)市長はツイッター(Twitter)に、抗議デモは「激化し続けて」おり、市内の市場では物不足も起き始めていると投稿した。

 エクアドルの人口1770万人のうち先住民は100万人以上おり、政治的影響力も強い。だが、新型コロナウイルスの流行で加速したインフレや失業・貧困問題の影響を偏って受けている。

 燃料価格は2020年以降、高騰している。軽油は1ガロン(約4リットル)当たり1ドルだったものが1ドル90セントに、ガソリンは1ドル75セントから2ドル55セントに値上がりしている。

 ギジェルモ・ラソ(Guillermo Lasso)大統領は20日、緊急事態宣言を全24州中6州に拡大。キトには夜間外出禁止令も出された。

 抗議行動の影響で、主要輸出品である石油の減産分を除いても、1日約5000万ドル(約68億円)の経済損失が発生している。

 国営石油会社ペトロエクアドル(Petroecuador)は21日、抗議行動の影響で1日当たりの生産量が約10万バレル落ち込んでいると述べた。(c)AFP/Santiago PIEDRA SILVA