■具体的な情報は

 クレムリンがプーチン氏の健康問題を認めたことが、一度だけある。2012年秋のことだ。当時、プーチン氏が足を引きずる姿が目撃され、同氏は複数の会合への出席を取りやめ、公の場から姿を消した。

 クレムリンはその時、プーチン氏は筋肉を痛めたと説明した。一方、あるメディアは、モーターハンググライダーでツルと並んで飛行した際の出来事で、背中の状態が悪化したと報じた。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)の際にも、異常な振る舞いが見られた。プーチン氏との面会に当たってクレムリンが示した厳しい条件に従わなかったとして、一部の指導者は長大なテーブルを挟んで座らされた。フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領や国連(UN)のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長のように。

 プーチン氏が4月、ショイグ国防相と会談した際、テーブルの端を強く握り締めていたことも臆測を呼んだ。体の震えを抑えるためだったとの説も出回った。

 世界的に政府関連の業務がコロナ下態勢から通常態勢に戻りつつある中でも、プーチン大統領はオンライン方式を多用している。

■健康不安を否定

 クレムリンのドミトリー・ペスコフ(Dmitry Peskov)報道官は、プーチン氏が深刻な健康問題を抱えているとの見方を強く否定している。

 実際、最近行われたトルクメニスタンのグルバングルイ・ベルドイムハメドフ(Gurbanguly Berdymukhamedov)大統領との会談の様子を見ても、肉体面での衰えの兆しはうかがえなかった。

 本命視されている後継者は浮上していない。プーチン氏は軍の最高司令官でもあり、2月24日のウクライナへの侵攻開始は同氏が決定したものだ。

 プロエクトのロマン・バダニン(Roman Badanin)編集長は「ロシアは国家運営を担っている人物の心身の健康状態について真実を知らされていない」と話す。「世界中が、赤いボタンを押して人類を破滅に導くこともできる人物が健康なのか知らないのだ」 (c)AFP/Stuart WILLIAMS