【6月23日 People’s Daily】消費電力が少ない時は、電気エネルギーで塩の洞窟に空気を圧縮し、ピーク時は、空気を放出し、空気タービン発電を作る。中国江蘇省(Jiangsu)金壇市(Jintan)にある塩の洞窟圧縮空気エネルギー貯蔵プロジェクトは、地下1キロにある塩の洞窟を大きな「モバイルバッテリー」に変え、1つのエネルギー貯蔵サイクルで30万度、1日で6万人の住民の消費電力量に相当する電気を蓄えることができる。

 圧縮空気エネルギー貯蔵(CAES、Compressed Air Energy Storage)は、新型エネルギー貯蔵「ファミリー」の一員だ。新型エネルギー貯蔵とは、揚水発電以外の新型エネルギー貯蔵技術のことで、新型リチウムイオン電池やレドックスフロー電池、フライホイール、水素(アンモニア)によるエネルギー貯蔵、CAES、熱(冷熱)エネルギー貯蔵などが含まれる。

 エネルギー貯蔵の役割は、「モバイルバッテリー」と簡単に理解することができる。風力発電や太陽光発電の出力が大きい時や消費電力が少ない時は充電し、風力発電や太陽光発電の出力が小さい時や消費電力のピーク時には放電する。それは不安定な太陽光発電および風力発電を円滑化し、再生可能エネルギーの割合を高めることができ、従来の火力発電、原子力発電などの電源と組み合わせ、電力システムの運転にピークシフト、周波数変調などの補助サービスを提供し、電力システムの柔軟性を高めることもできる。また、新型エネルギー貯蔵は、短い建設サイクル、シンプルで柔軟な立地選択と強力な調整能力を持っており、新エネルギーの開発と処理によりマッチしているという特徴がある。

 このほど、中国政府が発表した「『十四・五』新型エネルギー貯蔵発展実施方案」は、2025年までに、新型エネルギー貯蔵が商業化初期から大規模な発展段階に入り、大規模な商業化応用条件を備えることを提示している。

 新型エネルギー貯蔵の開発では、安全性が最重要課題だ。「実施方案」では、新型エネルギー貯蔵の安全リスク防止を強化し、新型エネルギー貯蔵産業チェーンの各プロセスの安全責任主体を明確にし、新型エネルギー貯蔵の技術基準、管理、監視、評価システムを構築・健全化し、新型エネルギー貯蔵プロジェクトの建設・運営の全過程の安全を保障することを提案している。

 新型エネルギー貯蔵の技術ルートは多様化の様相を呈している。中国科学院電工研究所エネルギー貯蔵技術研究チーム長の陳永翀(Chen Yongchong)氏は、エネルギー貯蔵の応用シーンは非常に豊富で、シーンごとの性能要求はそれぞれ異なり、高い電力を必要とするシーンもあれば、大きな容量を必要とするシーンもある。エネルギー貯蔵技術にはそれぞれの特徴があり、今後はさまざまなエネルギー貯蔵ルートが並行して発展していくだろうと考えている。「実施方案」は、研究開発予備技術の方向性を示した。それは異なる技術ロードマップの「開花」を奨励するとともに、イノベーション資源の配置の改善を両立することだ。

「第13次五か年計画(2016〜2020年)」以降、中国の新型エネルギー貯蔵は、研究開発の実証から商業化の初期段階への移行において、実質的な進展を遂げた。リチウムイオン電池によるエネルギー貯蔵やCAESなどの技術は、すでに世界トップレベルに達しており、2021年末には、新型エネルギー貯蔵の累積の設備容量が400万キロワットを超えた。(c)People’s Daily/AFPBB News