【6月21日 AFP】ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は20日、ロシアのウクライナ侵攻でアフリカが「人質」に取られていると非難した。侵攻により世界で食料不足となっており、アフリカでは飢饉(ききん)が懸念されている。

 ゼレンスキー氏はアフリカ連合(AU)との会合で演説し、「アフリカはわが国に対する戦争を始めたものたち(ロシア)の事実上の人質になっている」と述べた。

 ロシア軍による港の封鎖で、農業大国ウクライナからの輸出は停止。急激な穀物と肥料不足が起き、数億人が飢餓状態に陥る恐れが出ている。

 ゼレンスキー氏は「あなた方にとってこの戦争は、遠くの出来事に思えるかもしれない。だが、食料価格はすでに恐ろしいほど高騰し、アフリカの何万世帯に影響を及ぼしている」と訴えた。

 さらに、世界的な食料危機はロシアが「植民地戦争」を続ける限り終わらないと指摘。ウクライナ国内で輸出を待つ2500万トンの穀物を輸送するため、港の封鎖解除に全力を尽くすとともに「新たな輸送供給網の構築」を目指すと述べた。

 ゼレンスキー氏は、アフリカ連合加盟国との対話を「強化」するため、近くアフリカ担当の特別代表を任命する予定だと明らかにした。また、ウクライナとアフリカの関係を協議する「大規模な政治・経済会議」の設置に関する協議を行うことも提案した。

 アフリカ連合委員会のムーサ・ファキ・マハマト(Moussa Faki Mahamat)委員長はツイッター(Twitter)に「地域平和と世界の安定を取り戻すには、紛争を終わらせるための対話が至急求められる」と投稿した。(c)AFP