【6月21日 AFP】オランダ政府は20日、ロシア産天然ガスの供給減少に対応するため、石炭火力発電に対し課していた制限をすべて解除すると発表した。前日には隣国ドイツも同様の措置を発表している。

 ハーグ(The Hague)で記者会見したロブ・イェッテン(Rob Jetten)気候・エネルギー政策相は、ガス供給は今のところ不足していないとしつつも、緊急措置の第1段階を宣言。国民に対し、ガス消費の削減を呼び掛けた。

 オランダ政府は、2002~24年の期間を対象に設けられていた石炭火力発電所の稼働制限を、直ちに撤回することを決定。これまで稼働率は35%に抑えられていたが、今後は再びフル稼働が可能となる。

 ロシア側は、ウクライナ侵攻を受け西側諸国が科した制裁を回避するため、ガス代金をロシアの通貨ルーブルで支払うよう各国に要求していたが、オランダの政府系ガス企業ガステラ(GasTerra)はこれを拒否。国営天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)は5月、オランダへのガス供給を停止したと発表していた。

 イェッテン氏は「現時点では、深刻なガス不足には及んでいないことを強調したい。だが、(ロシアに)圧迫されている国は増えており、懸念している」と表明した。ドイツも19日、ロシア産天然ガスの供給減少と国内のエネルギー需要に対応するための「苦渋だが不可欠」な措置として、石炭利用の拡大を含む緊急措置を発表していた。(c)AFP