【6月20日 AFP】サッカーフランス代表のキリアン・エムバペ(Kylian Mbappe)は19日、昨夏行われた欧州選手権(UEFA Euro 2020)のベスト16でPKを失敗した後、自身に向けられた人種差別を無視したとして、同国サッカー連盟(FFF)の会長を非難した。

 仏リーグ1のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)に所属するエムバペは、スイスとの決勝トーナメント1回戦のPK戦でキックを失敗。世界王者フランスは敗退を余儀なくされた。

 怒りを募らせたファンからSNSで非難の的となった23歳のエムバペは、結果的に代表引退を検討したほどだった。

 FFFのノエル・ル・グラエ(Noel Le Graet)会長は、19日付の新聞のインタビュー記事で、欧州選手権敗退後にエムバペが感じていたサポートの欠如について口にしたが、エムバペに対する人種差別には触れず、これが同選手をいら立たせることになった。

 ル・グラエ会長は「彼(エムバペ)はPKを失敗し、ソーシャルメディアで批判された後、連盟から擁護されなかったと考えていた」とコメントした。

「われわれは私の事務所で5分間、顔を合わせた」と語ったル・グラエ会長は、エムバペは「もうフランス代表でのプレーを望んでいなかったが、本心でないのは明らかだった」と付け加えた。

 しかしエムバペは同日、ツイッター(Twitter)上でこれに反応し、自身が被害に遭った「人種差別」についてル・グラエ会長が考慮しなかったのは残念だと記した。

 エムバペは「最終的に彼(ル・グラエ会長)に説明したのは特に人種差別に関してで、PKについてではない」と述べつつ、「だが彼は人種差別は全くないと考えていた」と続けた。

 ル・グラエ会長はその後、エムバペとの間に「問題は一切ない」と仏ラジオ局に話した。

「彼に同意している。全てを理解したし、キリアンとの間に問題は一切ない。彼にはずっと深い愛着がある」

 今回の件に先駆けて国際サッカー連盟(FIFA)は18日、サッカー選手を対象としたSNS上での侮辱の数が増加していることを指摘する報告書を公開していた。調査によれば、このうち38パーセントが事実上は人種差別的なものだったという。(c)AFP