【6月20日 AFP】南米コロンビアで19日、大統領選挙の決選投票が行われ、左翼ゲリラ出身のグスタボ・ペトロ(Gustavo Petro)元ボゴタ市長(62)が接戦を制した。同国で左派政権が誕生するのは初めて。

 開票率99.5%の段階で、ペトロ氏は実業家の富豪ロドルフォ・エルナンデス(Rodolfo Hernandez)氏(77)を3ポイント(約70万票)以上引き離し、当選を確実にした。

 ペトロ氏はツイッター(Twitter)に「国民にとってお祝いの日だ。初めての大衆の勝利を祝おう」と投稿。エルナンデス氏もフェイスブック(Facebook)で敗北を認め、「ペトロ氏が汚職と闘うとの公約に忠実であることを願う」と述べた。

 新政権では、環境活動家でフェミニストのフランシア・マルケス(Francia Marquez)氏(40)が、黒人女性として初めて副大統領に就任する。

 今回の選挙は、保守派のイバン・ドゥケ(Ivan Duque)大統領の任期満了に伴って行われた。

 ペトロ氏には、新型コロナウイルス禍によって打撃を受けた経済の立て直し、麻薬取引絡みの暴力事件の急増、昨年4月の大規模な反政府デモにつながった政治不信などの課題が待ち受けている。コロンビアは、国民の約40%が貧困ライン以下で生活しており、失業率は11%に上る。

 左派のイデオロギーについては、多くのコロンビア人にとって60年間に及ぶ内戦の記憶を想起させるもので、ペトロ氏の大統領就任を懸念する国民も多い。

 ペトロ氏は1980年代に急進左翼の都市ゲリラ「4月19日運動(M19)」のメンバーとして活動し、2年近くを獄中で過ごした。M19は1990年に政府と和平合意を結び、合法政党となった。(c)AFP/Barnaby CHESTERMAN