【6月20日 Xinhua News】中国河北省(Hebei)泥河湾盆地の南東縁にある下馬碑遺跡で、初期人類が顔料を使用していた証拠が発見された。

 同省文物考古研究院の王法岡(Wang Fagang)副研究館員は泥河湾での発掘調査の進展状況について「中国さらには東アジアでこれまでに知られる人類最古の顔料加工と細石器の象眼使用の証拠を発見し、4万年前の東アジアの人類の生活の様子をまざまざと再現した」と報告した。

 河北省北西部の泥河湾盆地は、東アジアで旧石器時代の遺跡と文化層序が最も良く保存されている地域とされる。下馬碑遺跡は後期旧石器時代の遺跡で、同省張家口市(Zhangjiakou)蔚(うつ)県三関村の東にある。王氏によると、遺跡の堆積層の厚さは290センチで、第6層から赤鉄鉱(せきてっこう)の痕跡や炉跡、周辺に散乱する石器、骨器、動物化石片などが出土した。年代測定の結果、地層は4万1千年~3万9千年前だと分かった。

 ラマン分光法や蛍光X線分析法などにより、赤鉄鉱が集中するエリアも見つかった。大型の研磨盤と研磨球、赤鉄鉱の砕片が出土したほか、一部の赤鉄鉱石の表面に残された摩擦の痕跡も確認された。赤鉄鉱顔料を加工した場所と考えられる。

 石器は打製細石器が中心で、一部の石器の表面から骨柄残留物や線状に並んだ植物繊維の残留物が見つかった。古代人が柄を取り付け、はめ込んで作った複合的な道具と思われ、穿孔や皮毛の加工、植物や動物の軟組織の切断などに用いたと推測される。

 王氏は「野外発掘調査の過程で記録された遺物や遺跡の分布状況を総合すると『炉を囲んで休み、石を研いで色をつけ、石をはめ込んで刃物にし、獲物を分け合っていた』4万年前の人たちの生活の様子を鮮明に描き出すことができる」と語った。

 中国科学院古脊椎動物・古人類研究所の楊石霞(Yang Shixia)副研究員は「4万年前は後期旧石器時代革命、初期の現生人類集団の形成、拡散と、行動の現代化との重要な結節点に当たる」と指摘。「今回実施した下馬碑遺跡に含まれる人類の行動情報に対する解析は、華北地域さらには東アジアにおける初期現生人類の行動の変革について理解を深める上での証拠になる」と語った。(c)Xinhua News/AFPBB News