【6月20日 Xinhua News】地球で約2億5千年前に起きた最大規模の大量絶滅では、7割以上の陸上生物と9割の海洋生物が死滅した。中国科学技術大学(University Of Science And Technology Of China、安徽省合肥市)の沈延安(Shen Yanan)教授が率いる研究チームはこのほど、最新の研究成果として、シベリアの巨大火山の噴火により大気に流入した大量の二酸化硫黄が、地球の表層に硫酸酸性雨を降らせ、腐食などの災害をもたらしたことが陸上生命体の大量絶滅の主な原因である可能性を見いだした。

 地球では過去に5回の大量絶滅が起きており、約2億5千万年前のペルム紀末に起きた3回目が最大規模だったとされている。海では三葉虫や棘魚(きょくぎょ)類、古代サンゴ、陸でも大部分の動物と昆虫が死滅し、植物の大量絶滅は同時期の石炭層の欠如を招いた。その原因とメカニズムは、以前から学術界の重要課題とされてきた。

 沈氏の研究チームは海外の研究者と共同で、オーストラリアのシドニー盆地でペルム紀から三畳紀の地層に関する研究を実施。千メートル余りの地下から採取したサンプルと関連地層の測量と分析を通じて大量絶滅の層位を測定し、絶滅時期を特定した。また、関連地層の黄鉄鉱に対して実施した高精度計測では、硫黄同位体の含量が陸上生物の絶滅期前後では一致していたのに対し、絶滅期だけが顕著に減少していることを突き止めた。

 チームメンバーの李夢涵(Li Menghan)博士は「今回の研究により、硫黄同位体の異常が当時のシドニー盆地の湖水の硫酸塩濃度の急激な上昇と関係していることが分かった」と説明。硫酸塩は大気から降下して地上に降り注いだもので、シベリアの巨大火山噴出によりもたらされたと指摘した。

 シベリアの巨大火山はペルム紀末から数十万年にわたり噴火を続け、地球生態系の連鎖反応を引き起こした。今回の研究によると、火山から噴出された二酸化硫黄が硫酸塩エアロゾルとなって世界に拡散し、硫酸雨となって地表の環境システムを腐食させた。また、氷室効果が地球全体を寒冷化させ、陸上生物の大量絶滅を招いた。

 研究成果は、国際学術誌「Earth and Planetary Science Letters」に掲載された。(c)Xinhua News/AFPBB News