【6月18日 AFP】国際自転車競技連合(UCI)は16日、新ルールの骨子を発表し、トランスジェンダーのサイクリストが女子のレースに参戦するための資格獲得期間を2倍に延ばした。この決定は、最新の科学知識からの情報を基にしたものであるとしている。 

 UCIは発表文で「サイクリングのパフォーマンスにおいて、筋肉の強さとパワーが重要な役割を担っていることを踏まえ、UCIはテストステロン値を下げるための移行期間を12か月から24か月に延長することを決定した」と説明した。

「UCIが定める資格ルールに関する今回の修正は、この分野についてこれまで明らかにされている最新の科学的知識を根拠にしており、トランスジェンダーの選手が競技に参加する機会を増やす一方で、公平性と平等性、ならびに競技の安全性維持を目的としている」

「新ルールは7月1日から施行される。その内容は科学的知識の進歩に応じ、将来的に変更の可能性がある」

 トランスジェンダーのライダーは、これまでの規則ではテストステロン値を12か月間で1リットル当たり5ナノモル以下にすることになっていたが、今後は24か月間で1リットル当たり2.5ナノモルまで下げる必要がある。 

 UCIのこの動きを受け、英国のトランスジェンダーサイクリストであるエミリー・ブリッジズ(Emily Bridges)の母親サンディ・サリバン(Sandy Sullivan)さんは、「ゴールラインの移動」だと反発した。

 サリバンさんは、先月ブリッジズが血液サンプルの提供を求められたと明かすと、UCIがルールを変更するつもりなら、なぜ同選手に関するデータが必要だったのか疑問を呈し、「ご想像通り、この不確実性とゴールラインの移動は大きな苦悩をつくり出し、エム(ブリッジズ)と私たち家族、そして他のトランスジェンダーコミュニティーを怒らせている」とソーシャルメディアに投稿した。

 昨年ホルモン治療を開始していた21歳のブリッジズは、他の選手から大会ボイコットの声が上がっていた中で、4月にオムニアムの国内選手権出場をUCIから禁止されていた。(c)AFP