【6月23日 AFP】2016年に亡くなった英歌手デヴィッド・ボウイ(David Bowie)のステージ上のペルソナの一人、「ジギー・スターダスト(Ziggy Stardust)」が地球に落ちて来てから50年がたった。ジギーというオルター・エゴ(分身)によってボウイはスターダムを駆け上がり、性的マイノリティーに対する考え方にも革命を起こした。

 1972年6月16日にリリースされたアルバム「ジギー・スターダスト(The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars)」で、ボウイはそれまでに吸収してきたさまざまな要素を一つにまとめ上げた。

 ダーティーなロック音楽は、米ニューヨークで出会ったミュージシャンのイギー・ポップ(Iggy Pop)やルー・リード(Lou Reed)の影響だった。出身地ロンドンで学んだパントマイムや演劇の要素も取り込んだ。ファッションのヒントになったのは、映画『時計じかけのオレンジ(A Clockwork Orange)』の衣装だ。そして、ワイルドで両性具有的なスタイルは、妻と足しげく訪れていたアンダーグラウンドのゲイクラブで身に付けたものだった。

 こうして誕生したのがジギー・スターダストだった。宇宙から来たパンセクシュアルなロックスターのジギーは、長髪のヒッピー文化があまりにも長く続いた後に過激でショッキングな表現を求めるポップカルチャー界の渇望を満たす存在となった。

 ボウイは後に、「60年代的なものをやるつもりは一切なかった」と振り返っている。「21世紀がこれから始まるんだという意気込みが私たちにはあった。昔のものは何もかも一掃したかった」