【6月17日 AFP】昨年1月の米連邦議会襲撃を調査する下院特別委員会は16日、3回目の公聴会を開いた。調査委員や元側近は、ドナルド・トランプ(Donald Trump)前大統領は2020年大統領選の結果を覆すため違法な試みに賛同するようマイク・ペンス(Mike Pence)前副大統領に圧力をかけたが、受け入れられなかったため支持者を扇動し、結果的にペンス氏の命を危険にさらしたと証言した。

 公聴会では、トランプ氏が大統領の座に居座り続けるための試みの要として、ペンス氏に賛同するよう「執拗(しつよう)に」圧力をかけていた様子が明らかになった。

 特別委のベニー・トンプソン(Bennie Thompson)委員長は「トランプ氏はペンス氏に対し、歴代の副大統領がしなかったことをするよう求めた。つまりペンス氏が選挙結果の受け入れを拒否し、トランプ氏の勝利を宣言するか、もしくは各州に差し戻して再集計させることを望んだ」と説明。「ペンス氏はノーと答えた。圧力に耐えた。彼にはそれが違法で、過ちであることが分かっていた」と語った。

 リズ・チェイニー(Liz Cheney)副委員長は、この「無意味な」試みを主導したのはトランプ氏の弁護士ジョン・イーストマン(John Eastman)氏だと指摘。同氏はそうした試みが違法であることを知りながら、積極的に進めたと述べた。

 特別委が公開したペンス氏の首席顧問グレッグ・ジェイコブ(Greg Jacob)氏の証言によると、イーストマン氏は議会襲撃の2日前、トランプ氏を前にして、試みが連邦法に違反することを認めていた。

 トランプ氏の長女イヴァンカ(Ivanka Trump)氏は公聴会で流された映像の中で、1月6日の襲撃当日、一家がホワイトハウス(White House)の大統領執務室(Oval Office)にいた時、トランプ氏は電話でペンス氏と「激しい」会話を交わしたと振り返った。その語調はそれまで聞いたものとは「異なるもの」だったという。

 トランプ氏は、同日開いた「選挙を盗むのをやめろ(Stop the Steal)」集会で演説し、ペンス氏に何度も言及。支持者に議事堂に向けて行進し、「死に物狂いで戦え」と呼び掛けた。

 演説草稿にはペンス氏の名前はなかったが、トランプ氏は演説中にアドリブでペンス氏を名指しして非難。特別委のピート・アギラル(Pete Aguilar)委員は、この言動が議会襲撃へと駆り立て、ペンス氏を危険にさらす結果につながったと語った。(c)AFP/Frankie TAGGART