【6月18日 AFP】「子どもの頃、スウェーデン人の友達の家に遊びに行った時のこと。部屋で遊んでいたら、お母さんが夕食ができたよと声を掛けてきた。肝心なのはその次。友達は、食べて来るから部屋で『待っててね』と言ったんです」──。スウェーデン人は、人をもてなさないのか、それとも、単にけちなのか。ソーシャルメディアに投稿されたエピソードが世界中で広まり、論争になっている。

「スウェーデンゲート(#Swedengate)」というハッシュタグで巻き起こった議論の発端は、ソーシャルニュースサイト「レディット(Reddit)」の掲示板。「あなたが体験した最も奇妙な異文化は?」というトピックに対し、冒頭のエピソードが書き込まれた。

 多くの人からも同じような体験談が寄せられた。珍しいことではないというスウェーデン人も大勢いたが、聞いたことがないという声もあった。

 スウェーデン人の歌手ザラ・ラーソン(Zara Larsson)さん(24)は動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」で、「子どもの頃は当たり前のことだった。友人の家で遊んでいて、その子が、ちょっとご飯を食べてくるね、30分で戻るよと出て行き、部屋に一人で残されることはよくあった」と話している。

 スウェーデン農業科学大学(Swedish University of Agricultural Sciences)のリチャード・テルストロム(Richard Tellstrom)准教授は「#Swedengate」の議論がこれほど盛り上がっているのは、「スウェーデン人らしさ」がよく表れているからだと指摘する。

 テルストロム氏は、外国人には奇妙に思えるかもしれないが、これはスウェーデン人がけちだからではないと説明する。

「これは家族同士の関係に関わることで、お互いに貸し借りをつくらないためなのです」

 スウェーデン人が、子どもの遊び相手を食事の席に招かない理由はいくつかある。

 遊びに来た子どもの家族にもやはり夕食の予定があるかもしれない。勝手に食事をさせると、「一家だんらんの機会を台無し」にしかねない。