【6月17日 Xinhua News】中国の考古学者がこのほど発表した三星堆(Sanxingdui)遺跡の最新調査結果は、肉眼で見える多数の青銅器や玉器、金器、象牙を発見したほかにも、微量分析など結果として祭祀坑の中に絹が含まれていたことを明らかにした。

 四川省(Sichuan)広漢市(Guanghan)にある三星堆遺跡の存在が確認されたのは1929年。86年に発見された1号、2号祭祀坑からは金杖や仮面、神樹、象牙彫刻など貴重な遺物1720点が出土した。これまで実施された発掘調査で見つかった銅器、玉石器、金器、土器、象牙などの遺物の数は5万点を超える。

 2020年に開始された新たな発掘調査では、四川省文物考古研究院や北京大学、四川大学などからなる合同発掘チームが、1号、2号祭祀坑の傍らで3~8号の六つの祭祀坑を相次ぎ発見した。

 四川省文物考古研究院三星堆考古研究院の冉宏林(Ran Honglin)所長によると、三星堆の絹は地中に数千年埋まっていたため当時の形状を留めていないが、考古学者は顕微鏡観察と絹タンパク質の分析を通じて多くの祭祀坑でその痕跡を発見した。青銅器などの出土遺物に付着していたものもあれば、灰のなかに「隠れて」いたものもあった。

 三星堆の絹織物の発掘と保存、研究に深く関わってきた中国シルク博物館の周暘(Zhou Yang)副館長によると、4号祭祀坑に堆積していた厚さ15センチの灰の層を分析したところ、異なる深さのいずれからも強い絹タンパク質反応が検出された。これは絹を燃やした後に残った灰で、堆積の厚さは3千年余り前の古蜀国の豊かさを物語っている。

 発掘現場で絹の残留物を探す技術は、抗原抗体反応の原理を用いている。研究チームはこの免疫学の原理に基づき、泥化、灰化、炭化、鉱物化した遺物から絹を見つける「妊娠検査薬」のような試薬キットを開発した。

 周氏のチームは徹底した調査を通じ、出土した青銅製の蛇や眼形器、40点余りの遺物から平織(ひらおり)や綾(あや)、編織物など各種絹織物を発見した。

 絹織物の発見は、学際研究と出土遺物からの微量情報の抽出と保存の結果であり、中国考古学の大きな進歩を示している。(c)Xinhua News/AFPBB News