【6月16日 AFP】韓国の人気音楽グループ「BTS(防弾少年団)」は14日、メンバー同士が食卓を囲みざっくばらんに語り合うユーチューブ(YouTube)動画で活動休止を表明し、世界中のファンに衝撃を与えた。

 所属事務所「HYBE(ハイブ)」は直後、グループとして活動は続けると説明。だが、ソロ活動に集中するための時間が必要だというメンバーの切実な訴えは、即座にネット上でファンの支持を得た。

 以下に、同グループの決断について、これまでに判明している情報を整理した。

■BTSは解散した?

 解散はしていない。

 BTSは非常に精力的な活動で知られており、9年間にわたって新作を次々と出し、音楽チャートのトップに立ち続けてきた。

 だが動画の中で、メンバーのシュガ(Suga)は、「僕たちはこれからオフの段階に入る」と語り、作詞作業が苦であることを告白。動画の英語字幕には、中断や休止を意味する「hiatus」という単語が使われていたが、所属事務所は即座にこれを打ち消し、BTSはソロ活動の傍ら今後もグループとしての活動を続けるとした。

 RMは、激しい競争で知られるK-POP業界ではアーティストとして成熟できず、自分がまるで「ラップのマシン」のように感じると語った。メンバーはファンへのメッセージとして、しばらく離れ離れになるものの、充電して強くなって戻って来たいと語った。

■活動休止はいつまで?

 一部の識者はBTSの活動休止の理由として、韓国の徴兵制度があると指摘している。

 韓国では、30歳以下の健常な男性に約2年の兵役が課される。BTSのメンバー7人の年齢は、最年少が24歳のジョングク(Jungkook)、最年長が29歳のジン(Jin)。ジンは、来年までに入隊しなければ懲役刑を科される恐れがある。

 地元メディアは、メンバー全員が兵役を終えるまで待つと決めた場合、休止期間は7年に及ぶ可能性があるとしている。

■グループの今後は?

 動画の中で、ジンは俳優としてのキャリアを追求する可能性を示唆した。また、今夏に米シカゴの音楽フェスティバル「ロラパルーザ(Lollapalooza)」でヘッドライナーを務める予定のジェイホープ(J-Hope)が、メンバーとして初のソロアルバムをリリースすることも発表された。

 しかし、動画の様子からすると、活動休止の主な目的はK-POP業界から離れて自分自身を見つめ直すことだとみられる。

 韓国・釜山大学(Pusan National University)のセダーボー・サエジ(CedarBough Saeji)准教授はAFPに対し、「アイドルになるということは、人間を商品化するプロセスだ」と指摘。「BTSのメンバーは、巨大なファンベースと、所属する会社、そして世界の期待に応えようとして長年重圧を受けた後、グループとしてではなく、アイドルとしてでもなく、個人としての自分探しの時間を求めている」と述べた。(c)AFP