【6月15日 AFP】ロシアのウクライナ侵攻など陰鬱(いんうつ)な世界情勢を受け、「ニュース離れ」が加速しているとする調査結果を15日、英ロイター・ジャーナリズム研究所(The Reuters Institute for the Study of Journalism)が公表した。

 調査は46か国の9万3000人を対象に実施。ニュースを意識的に避けていると回答した人の割合は、2017年の29%から38%に拡大した。ブラジル(54%)や英国(46%)など、ほぼ倍増した国もあった。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)やウクライナでの戦争、物価高騰など複合的な要因を背景に、ニュースへの関心が低下しているとしている。

 特に若者の間で、ニュースを「気がめいる」ものと見なす傾向が顕著だった。ただ、ニュースを避ける主な理由としては、新型コロナや政治関連のニュースなどを中心に同じ話題が繰り返される点を挙げている。

 英国人の回答者(27)は「不安をもたらすものや生活に悪影響を与える恐れのあるものは意識的に避けている」「死や災害などに関するニュースはなるべく読まない」と語っている。

 ニュースはできれば避けたい口論や、無力感につながると回答した人もいる。分かりにくいと回答した若者も多かった。

 報告書の筆頭執筆者であるニック・ニューマン(Nic Newman)氏は調査について「メディア業界にとって非常に厳しい」結果となったと評価。「政治危機や国際紛争、パンデミックなど、ジャーナリストが最も重要だと考えるテーマこそが、一部の人のニュース離れを招いている」と述べた。

 調査のほとんどはロシアのウクライナ侵攻が始まった2月以前に完了していた。しかし、侵攻後に調査が行われた5か国では、ニュース離れがより進行していることが示された。

 メディアに対する信頼度は平均42%と、昨年の44%を下回った。ほぼ半数の対象国で低下し、上昇したのは7か国だけだった。米国は26%で、スロバキアと並び最低だった。

 若者の間で従来型メディアからの離反が進んでおり、18~24歳の層の15%は主なニュース閲覧手段として動画投稿アプリ「ティックトック(TikTok)」を挙げている。(c)AFP