【6月15日 Xinhua News】中国の四川省(Sichuan)文物考古研究院は13日、同省広漢市(Guanghan)にある三星堆(Sanxingdui)遺跡の最新発掘成果を発表した。「人首蛇身」「月光宝盒」「猪鼻竜形」など独特な形状をした青銅器は、中国古代の人々の自由な想像力を体現するとともに、中華文明の多元一体性を証明している。

 同遺跡では2020年、四川省文物考古研究院や北京大学、四川大学などからなる合同発掘チームが、祭祀(さいし)エリアで新たな発掘調査を開始。すでに発掘を終えた1号、2号祭祀坑の傍らで約3千年前の六つの祭祀坑(3~8号祭祀坑)を相次ぎ発見した。これまでに登録を終えた出土品は約1万3千点で、うち形状が整っている遺物は3155点に上る。

 三星堆遺跡の面積は約12平方キロ。遺跡の存在が初めて確認されたのは1920年代で、1986年に発見された1号、2号祭祀坑からは金杖や青銅人像、青銅神樹など貴重な遺物数千点が出土した。これまで数回実施された発掘調査で出土した遺物は、青銅器や玉石器、金器、土器・陶器、象牙など5万点を超える。

 同遺跡では現在、3号、4号祭祀坑で発掘作業が完了しており、5号、6号祭祀坑では遺物の取り出しを終え、実験室で整理作業が行われている。今回発表された出土品は7号、8号祭祀坑に集中しており、7号祭祀坑からは考古学者が「月光宝盒」と呼ぶ亀背形網格状器、ひとまとめになった長条状玉鑿(ぎょくさく)や三孔玉璧形器、玉斧(ぎょくふ)、玉瑗(ぎょくえん)のほか、銅頂璋竜形飾、小型の青銅鳳鳥、青銅立人、銅鈴などが発見された。7号祭祀坑と隣り合う8号祭祀坑は大型青銅器が多く、金面罩銅頭像や頂尊蛇身銅人像、銅神壇(しんだん)、銅巨型神獣、銅竜、銅立人像、銅猪鼻竜形器、銅戴象牙立人像、銅神殿形器蓋(きがい)、石磬(せっけい)などが出土した。世界で初めて発見された器物も多数あった。

 8号祭祀坑の発掘責任者で、北京大学考古文博学院の趙昊(Zhao Hao)副教授は「遺物の造形は非常に複雑で、想像力にあふれ、当時の人々が想像していた神の世界を反映していた。中華文明の多様性と豊かさも体現している」と語った。

 三星堆の祭祀坑からは、多く青銅竜も見つかった。四川省文物考古研究院三星堆考古研究所の冉宏林(Ran Honglin)所長は青銅竜について、これまで発見された玉璋(ぎょくそう)や玉戈(ぎょっか)、玉琮(ぎょくそう)、銅尊、銅罍(どうらい)などとともに国内の他の地域、特に中原地域(黄河中・下流域)や長江の中流地域で大量に発見されていると指摘。中華文明が早い時期に相互に交流を持ち、融合していたことの証拠だと語った。

 考古学者は肉眼で見える遺物以外にも、現代の科学技術を使い、シルクの痕跡を発見した。中国シルク博物館の周暘(Zhou Yang)副館長は「シルクは中華文明の統合過程における非常に顕著な集約要素だ」と指摘した。

 8基の祭祀坑周辺では、灰溝や建築基礎、小型の祭祀坑も見つかり、金器や有領銅瑗(どうえん)、跪坐石虎、跪坐石人、石琮、石璧、玉鑿、緑松石(トルコ石)、象牙などの貴重な遺物が出土した。

 植物考古学、動物考古学を通じた研究では、竹やアシ、大豆、祭祀のいけにえと思われる黄牛や猪も確認された。

 考古学者は今後の方針として、祭祀坑エリア以外でも調査を実施し、三星堆遺跡を築いた古代国家の全貌を明らかにするとしている。出土品の保護修復作業も進められており、敷地面積66ムー(約4・4ヘクタール)の三星堆博物館の新館も2023年の完成を見込む。完成後は館内に設けられた開放式の修復館で遺物を見ることができるという。(c)Xinhua News/AFPBB News