【6月15日 People’s Daily】数日前、中国初の人工火星衛星「天問1号(Tianwen-1)」周回機の近火点(火星から最も近い点)が、再び火星探査車の巡回エリアの上空を通過し、「祝融号(Zhurong)」の巡回エリアの0.5m解像度画像を撮影した。当該画像の中で、「祝融号」火星探査車の進行路線がはっきり見える。また、「天問1号」周回機は3月7日に、米国の「パーシビアランス(Perseverance)」火星探査車を撮影した。

 2021年2月10日、「天問1号」は火星接近制動し、火星の周回に成功した。同年5月15日、「天問1号」は予定着陸帯でマニュアル通りの正確な着陸を完了した。同年5月22日、「祝融号」火星探査車は着陸プラットフォームを離れ、火星での巡回探査を行い、火星の「探検の旅」を開始した。2022年3月24日の時点で、「天問1号」周回機の軌道上での運行日数は609日に達し、地球から2億7700万キロメートル離れた場所にいる。「祝融号」火星探査車の火星表面での運行は306火星日に達し、計1784メートルを走行した。現在、両機とも正常に運行している。

「祝融号」火星探査車も火星表面から自撮り写真を送ってきたが、着陸した直後の写真と比べ、探査車の表面にうっすらと砂塵が積もっていることが分かった。砂塵は探査車のエネルギー取得に直接影響を与え、発電効率の低下をもたらす。それに対応するため、探査車のソーラーウイングにはさまざまな工夫を施した。ただし、現在のエネルギーは、探査車の継続的な走行と探査のサポートに十分で、ソーラーウイングを使用する必要はまだない。

 火星の北半球はすでに秋に入った。これまでの探査資料の分析によると、秋は火星の砂塵嵐が多発する季節だという。プロジェクトチームは、「天問1号」周回機の中解像度カメラから取得した画像で砂塵嵐の観測を続け、2022年1月下旬から、北緯60度以北の地域で顕著な砂塵の活動が始まったことがわかった。画像を見ると、2022年2月にこの地域で発生した局所的な砂嵐で、典型的な地物は大量の砂塵に覆われ、見分けがつきにくくなっていることが分かった。しかし、今のところ、「祝融号」の巡回エリアでは、目立った砂塵嵐は観測されていない。

 これまでのところ、人類は50機以上の火星探査機を打ち上げたが、着陸に成功したのは18回のみで、「天問1号」はその一つだ。「天問1号」周回機は、火星全体のリモートセンシング探査を継続的に展開し、クレーター、火山、峡谷、干上がった河床などの典型的な地形や地質ユニットに焦点を当て、それらの高解像度画像を取得する。

 中国惑星探査プロジェクトの全体計画によると、2030年頃までに、中国は火星探査をメインラインとし、小惑星探査、火星サンプルリターン、木星系探査などの任務を実施するという。(c)People’s Daily/AFPBB News