「民衆が来られなければわれわれが行く」 中国各地で広がる草の根民主
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【6月14日 People’s Daily】暖かく晴れた日の午後、中国河北省(Hebei)石家荘市(Shijiazhuang)行唐県(Xingtang)只里郷(Zhili)霍村の高齢者活動センターで、お年寄りたちが将棋を楽しんでいる。センターには卓球台や麻雀卓、休憩所もあり、高齢者の集いの場となっている。
活動センターの誕生は昨年9月、政策機関の行唐県政治協商会議(政協)が霍村で開いた「移動相談会」がきっかけだった。村のお年寄りたちは「今の暮らしは衣食住に困らないようになったが、ふれあいの場所がない」と打ち明けた。行唐県政協はすぐに県住宅建設局や只里郷の役所と協議。村の中心部にある空き家を高齢者の交流拠点にすると決め、わずか3か月で高齢者活動センターを建設した。
政協は一般的に、地域のさまざまな問題を話し合うため専門家らを本部に招いて会議を開くが、当事者の民衆が参加することは少ない。そこで行唐県政協は草の根活動の一環として2021年8月から移動相談会を始めた。行唐県政協の張勝利(Zhang Shengli)主席は「民衆が来られないなら、われわれが行けばいい」とその意図を明確に話す。
行唐県政協の幹部たちは社区(都市の地域単位)や農村、工場などに出向いて相談会を開いている。問題が見つかればすぐに現場へ向かい、関係者と協議を重ねて解決策を探る。張主席は「移動相談会は多くの民衆に意見を述べる機会を与え、関係部門の参加を促すことができる。政協の職務遂行能力は向上し、多くの当事者にメリットがある」と意義を語る。
行唐県だけでなく、中国各地でこうした草の根活動が活発になっている。住民や政協委員らが腰掛けを持参して村の中心にある大樹の下に集まり、村の発展について話し合う「腰掛け民主主義」や、丸いテーブルに集まって参加者が対等に話し合う「円卓会議」など、名称はさまざま。「移動相談会」もその一つだ。全国各地でますます多くの政協委員たちが自ら地域に入り、草の根民主を活気あるものにしている。(c)People’s Daily/AFPBB News